2005年2月8日

    いよいよCellがベールを脱いだ

    後藤弘茂のWeekly海外ニュース~ISSCCで、ついにCellが登場

    米国で開催中のISSCCで、次世代PlayStationの心臓部であるCellプロセッサが、ついにそのベールを脱ぎました。一般紙では動作周波数が4GHz以上で、既存MPUの10倍の性能という点が強調されていますが、まあそのへんは話半分で聞いておくとしても、かなり特徴的なアーキテクチャを持っていることは事実のようです。特にCPUコアを9つ持っているというのには驚きました。このうち1つはPowerPCと命令セットが共通で、ほぼ同じ物と考えてよさそうです。残りの8つはストリーミング処理に向いたSIMD型の比較的小さなコアで、浮動小数点演算を高速にこなせるようです。動画のリアルタイム処理などではかなりの威力を発揮しそうですね。こういう処理に限って言えば10倍とまではいかないまでも、今までのプロセッサとは一線を画する速さを実現するのではないでしょうか。
    またバスも非常に高速で、メモリ帯域が25.6GB/sec、チップ間インターフェイスが76.8GB/secとなっています。現在のPC環境では、DDR2-533でデュアルにしたところで8.4GB/sec程度のメモリ帯域ですから、モジュールとチップ単体という違いもあり単純に比較はできませんが、メモリ帯域には相当余裕があると見ていいでしょう。
    そしてこれだけの機能を詰めて、90nmプロセスでダイサイズが221mm2と、すでに十分量産可能なサイズになっています。300mmウェハなら、歩留まりを無視すれば1枚あたり300個弱ぐらいは取れそうですから、現時点でも十分ペイしそうです。ただ最初この記事のウェハ写真を見たとき、どう見てもダイサイズがその2倍以上あるように見えて仕方ありませんでした。なんでかなあと思っていたら、どうやらこのウェハ上にはCellとともにテスト回路も載っているようなのです。Cell2個とそのテスト回路を含めて1つのコアに見えてしまっていたので、ダイサイズが大きく見えてしまっていたようです。それで気づいたのですがこのテスト回路、写真で見る限りCell2つごとに1つ付いているように見えるのですよね。Cellをテストするときに、デュアル構成でテストしたりしてるのでしょうか。だとしたらこの先の展開がちょっとおもしろくなってくるのですが。