ドイツ・バッハの旅6日目(7/24) その2

13時になったので、ケーテン城の中に入ることにします。受付には初老の男性が座っていたので、入場料がいくらかと聞くと、”Drei Euro.”とのこと。しかし私は一瞬混乱してしまい、2ユーロを出したところ、再度”Drei!”と言われてしまいました。そうか、Dreiは3だった…と思い出し、あわてて5ユーロ札を出しておつりをもらったのですが、あれは恥ずかしかったなぁ。もともと旅行前にドイツ語を勉強していたときも、たまにTweiとDreiがごっちゃになることがあったので心配していたのですが、その心配が現実のものとなってしまいました。

気を取り直して内部を見学することにします。まず女性の係員(というより警備員みたいな感じ)に案内されて螺旋階段を上り、鏡の間へ。ここはバッハがケーテン候の前で御前演奏をした場所として有名です。見学者は私の他に一人だけだったので、係員はその人にドイツ語で説明していましたが、私はドイツ語がわからないのでおいてけぼり…。でもここにはほんとにバッハがいたような気がして、雰囲気だけでも十分楽しめました。

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↑これが鏡の間です。今でも定期的にコンサートが行われているようで、ピアノやベンチが置かれていました。

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↑上の写真の反対側から撮影。細長い構造だということがよくわかると思います。鏡の間というだけあって、壁面には鏡が貼られているのがわかるでしょうか。

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↑中央にはバッハの胸像が置かれていました。シャンデリアも年季の入ったすばらしいものです。

鏡の間を見学した後、下の階に案内されると、そこにはさまざまな資料が展示されていました。まず入るときにスリッパのようなものが置いてあったのですが、どう考えてもサイズがでかいのです。これはどう使うんだろうといぶかしがっていると、どうも靴を履いたままスリッパを履く様子。うーむ、こんなスリッパ見たことないぞ…と思いながら、スリッパを履きましたが、もこもこして歩きにくいっす(笑)。

展示物もなかなかおもしろくて、楽譜の複製や、クラヴィコード、チェンバロ、オルガンなどが並べられていました。ちょっとだけ音を出してみたりもしましたが、クラヴィコードとか良い音しますねぇ。

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↑展示されていた楽譜。これは平均律クラヴィーア曲集第1巻・第3番のプレリュードです。

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↑これはクラヴィコードです。非常に繊細な音がでるので、大人数のコンサートには向きませんが、私は大好きです。

その後係員に頼み込んでもう一度鏡の間を見せてもらうことに。やっぱり一人で鏡の間にたたずんでいると、時間が経つのを忘れそうになります。できることならコンサートも聴いてみたかったなぁ。その後受付のある1階に降りると、そこにも展示物がいろいろ置いてありました。そろそろ帰りの電車の時間が近づいて来たので足早に見学していきます。1階には他にも宮廷礼拝堂があったのですが、ここでも小規模なコンサートが行われているような雰囲気でした。

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↑宮廷礼拝堂は鏡の間に比べれば新しい印象を受けました。最近改装されたのかもしれませんね。

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↑2階部分にはオルガンが置かれていました。礼拝用のごく小さいもののようです。

最後に受付の男性にお礼を言い、ケーテン城を後にしました。外に出るとさっきまであんなに天気良かったはずなのに、ぱらぱらと雨が降り出しているではありませんか。あわてて駅まで急ぐことにしました。

さて、ここからはハレ(Halle)の街へと向かいます。切符を持っていなかったので、駅の券売機で購入後ホームへ。ほどなく到着したRBに乗り込み、30分弱で目指すハレに到着しました。

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↑ケーテン駅を猛スピードで通過していく、新車を乗せた貨物列車。日本でも鉄道輸送が見直されているようですが、まだこういう光景はあまり見ない気がします。

ハレは「メサイア」で有名なヘンデルの生まれた街として有名で、当時国際的に名をはせていたヘンデルに、バッハが会いに来ようとしたこともあったようです。結局二人の対面は実現しなかったようですが、バッハの長男ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハがこの街でオルガニストとして活躍していたため、「ハレのバッハ」と呼ばれるなど、バッハともつながりの深い街といえます。

この街の情報もほとんどなかったので、とりあえず印刷してきた地図を頼りに街の中心部まで歩いて行こうかと思ったのですが、駅前に出ると路面電車の電停があり、どうやら市内まで出られそうだったので、これに乗って行くことにしました。しかし案内がわかりにくくてずいぶん難儀したなぁ…。それでもなんとか目的のMarktplatz電停に到着。ここはケーテンと違ってずいぶん人が多くて、活気がありました。

到着後まずは観光案内所に入り、地図をもらってからすぐそばのマルクト教会へ。入って写真を撮っているとすぐにオルガンの演奏が始まったので、とりあえず手近な席に座って演奏を聴くことにしました。曲のチョイスのせいか音響効果のせいかはわかりませんが、今回の旅で一番気に入ったオルガンがここでした。とにかく心にしみてくるような感じがして、全く身動きがとれません。結局演奏が終わるまで30分ほど聴き入ってしまいました。後から調べるとここのオルガンはバッハも演奏したことがあるようで、そりゃあすばらしいわけだと納得しました。

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↑マルクト教会の外観。2本の尖塔が印象的です。

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↑教会前の噴水ですが、なぜかモチーフが中国風で、なんでだろう…と首をかしげてしまいました。

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↑そしてこれがマルクト教会のオルガン。はしごを立てかけてあるのがちょっと無粋ですが(苦笑)、すばらしい音でした。

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↑祭壇も立派なものでしたが、ここには正面にステンドグラスはありませんでした。上に見えるオルガンは、合唱の伴奏用でしょうか。

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↑別の角度からもう一枚。ここのオルガンは改装されたようで、教会内にはそのときの様子が展示がされていました。

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↑最初の写真のちょうど裏手からマルクト教会を写したもの。天気が悪かったのが悔しいなぁ。風も強くて、歩くのが大変でした。

マルクト教会でオルガンを堪能した後は。ヘンデルの家へ行くことにします。ここは入場料は無料ですが、寄付歓迎というスタイルだったので、まずはそのまま中に入ることにしました。内部はヘンデルの生い立ちに沿って展示物が並んでいて、英語の解説も付いていたので、なんとか理解することができました。ヴァージナルやチェンバロの展示も多くて、なかなか興味深かったです。ちなみにここでは日本人とおぼしき女性二人組と遭遇したのですが、旅先で日本語使うのはあんまり好きではないので、とりあえず知らないふりをして見学を続けました。最後に寄付を入れて、ヘンデルの家を後にします。

その後モーリッツブルク城美術館や大聖堂に行ってみたのですが、もう時間も遅かったせいか閉まっていたので、外から見るだけにしました。

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↑ここはNeue Residenz(新宮殿)だそうです。由来とかはさっぱりわからなかったのですが、歴史はありそうな建物でした。

めぼしいところはほぼ見て回ったので、再びMarktplatzへ。そろそろ帰るか…と思ったのですが、たまたま大きな本屋が目に入ったので、中に入ってみることにしました。ここもご多分に漏れずマンガの品揃えが結構あったのですが、そこではなんと「怪盗セイント・テール」が売られているではありませんか!これは買っておかなければ…と思い(おい)、6巻を購入。ほんとは1巻が欲しかったのですが、あいにく売り切れていたのですよね。5ユーロ(約850円)と日本の2倍ぐらいの値段でしたが、翻訳の手間と需要を考えると、これぐらいの値段になってしまうのでしょうね。

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↑Marktplatzに建つヘンデル像。この街の観光名所の一つです。

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↑同じくMarktplatzに建つ時計塔、かな。Marktplatzはとにかく広くて、開放感がありました。

時刻も18時半になろうとしていたので、帰りは歩いて駅まで戻ることにします。予想外の出費で、財布の中はかなりピンチになっていたので、途中で発見した銀行でお金をおろそうと思ったのですが、そこでは専用のカードがないと中に入ることすらできないようだったので断念。駅に戻り、切符を買おうとすると、ライプチヒまでは近距離なのでクレジットカードが使えないではありませんか。仕方なく駅構内をうろうろするとGeldautomatというATMを発見したので、クレジットカードでお金を出すことにしました。ほんとは10ユーロもあれば十分だったのですが、最低20ユーロからだったので、仕方なく20ユーロを出しました。まあ結果的にはこの20ユーロにはほとんど手を付けなくて済んだのですが、手持ちが少ないと心細いですからねぇ。

切符はAltenburgに行こうとしたときの教訓があったので、無事にMDVの切符を買う画面に入って、ライプチヒを含む110番区間の切符を買うことができました。ほんと慣れないとややこしいなぁ…。そしてS-bahnに乗り込み、30分少々でライプチヒ中央駅に到着。さすがにS-Bahnは各駅停車なので、行きに比べれば時間がかかりました。

ライプチヒに戻ってきたので、とりあえず晩ご飯を食べることにします。しかし目当ての店に行ってみると閉まっているではありませんか。仕方がないので、テューリンガー・ホーフという創業1415年でルターも足を運んだと言われているお店に行くことにしました。ここではソーセージの食べ納めをしようと思い、この旅で何度も食べたソーセージを注文。あとビールも2種類楽しみました。味的にはそれほど特筆すべき事はありませんでしたが、これで食べ納めかと思うとせつなかったですねぇ。値段は11.9ユーロ(約2,000円)とやや高めでした。

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↑テューリンガー・ホーフのソーセージ。マッシュポテト以外の付け合わせが独特でした。

店を出るともう21時を回っていたので、まっすぐホテルに帰ります。明日はいよいよ日本へ帰国する日です。帰りたくない気持ちと帰ってゆっくり休みたい気持ちが混じり合って、複雑でした。続きは次の最終回で!

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