南ドイツ・オーストリアの旅2日目(8/18) その2

インスブルック中央駅のホームに上がり、オーストリア連邦鉄道の誇る特急列車、railjet(レイルジェット)に乗り込みます。ほぼ定刻にやってきましたが、間違えて一等車に乗ってしまったので、車内を移動して食堂車を通り抜け、座席のある二等車へ。やはり私の座席には見知らぬ女性が座っていたので、文法の怪しい英語で話しかけて空けてもらい、なんとか座ることができました。railjetは2008年に運転を開始したばかりのまだ新しい特急で、内装は割とシンプルですが快適でした。ただ進行方向が座席の向きと反対だったので、後半はやや気持ち悪かったです。途中車内販売でエスプレッソマシンごとワゴンに乗せて運んでくるのに驚いたりしつつ過ごしていると、車内検札が。今回は切符を買うとき決済に使ったカードを見せたせいかはわかりませんが、パスポートまでは要求されませんでした。列車はノンストップでザルツブルクへと向かいますが、路線の関係で一旦ドイツ国内に入ります。このあたりまでは昨日も通った路線だったので少し見覚えがありましたが、ローゼンハイムのあたりで進路を東に変え、ここから大きな湖の横を通りぬけると、程なくしてオーストリアとの国境にさしかかります。ザルツブルクは国境を越えて本当にすぐの所にありました。



↑ザルツブルク中央駅停車中のrailjetの食堂車と機関車。外装は赤と黒で統一されており、おしゃれでとても目立ちます。


↑ザルツブルク中央駅の駅標。音楽祭シーズンのせいか降りる人がとても多く、駅もところどころ改装中でしたがきれいでした。

ザルツブルクもなかなか日差しが強くて暑かったのですが、雨の多い街だと聞いていたので、晴れてるだけラッキーと思いながら駅を出ると、駅前にはトロリーバスが止まっていました。


↑ザルツブルクには地下鉄やトラムが無い代わりに、一部路線にはこのトロリーバスが走っています。排ガスを出さないエコな乗り物です。

ホテルまでは歩いても10分少々の距離だったので、歩いて向かうことに。ホテルはすぐに見つかったので、チェックイン後天気が良いうちに観光しないとと思い、荷物を整理してすぐにホテルを出て、まずはミラベル庭園へ向かいます。ザルツブルクの街は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となったことで有名なのですが、このミラベル庭園も映画の一場面に出てきます。


↑なんとなく映画に出てきそうな光景です。


↑このペガサスの泉もサウンド・オブ・ミュージックに出てくるスポットです。



↑ミラベル宮殿前に広がるミラベル庭園。入場無料ですがとても綺麗に整備されていて、観光客や地元の人の憩いの場となっています。


↑ミラベル宮殿前のバラ園より。はるか丘の上に見えるのはホーエンザルツブルク城塞です。


↑噴水の向こうに見えるのがミラベル宮殿です。

ミラベル庭園を南に抜け、ザルツァッハ川を渡って旧市街に向かうことにします。


↑ザルツァッハ川にかかるマカルト橋。歩行者専用で、欄干には願い事を込めたらしい南京錠が鈴なりになっていました。



↑マカルト橋から東側。車やバスはこちら側の橋を通ります。

旧市街に入り、ゲトライデガッセという通りへ。ここは狭い道の両側にいろんなお店が建ち並び、さらに細い路地が迷路のように入り組んだところです。


↑人通りの多いゲトライデガッセ。店の軒先にかかる鉄細工の看板がここの名物です。

ゲトライデガッセから垂直に伸びる細い路地(パッサージュ)は、建物の中を通り抜けるような抜け道の雰囲気たっぷりです。そしてここにもお店があったりして、業態は違いますがなんとなく北新地の抜け道を思い出しました。



↑路地をあてもなくさまよっていると、偶然コレーギエン教会の前に出ました。ここから道を挟んで南側に、祝祭大劇場などのコンサートホールがあります。


↑音楽祭の会場ともなる、フェルゼンライトシューレの入口。ここには明日再び来ることになります。


↑フェルゼンライトシューレに隣接する、祝祭大劇場。まさにザルツブルク音楽祭開催中の今、コンサート開演前にはタキシードやドレス、チロルの民族衣装を着た観客がたくさんこの前を行き交っていました。


↑祝祭大劇場の西隣にある、馬洗い池。ここもサウンド・オブ・ミュージックに出てくるポイントです。


↑馬洗い池から南側を向くと岩山のトンネルがあり、トンネルとの間にザルツブルク音楽祭のチケット売り場があります。

今回、音楽祭シーズンのザルツブルクに行くことを決めたとき、せっかくなので何か一つぐらいコンサートを見ておきたいなと思い、演目やチケット代などいろいろ考えた末、明日夜のコンサートのチケットを日本からインターネットで予約していました(旅行の日程もそれに合わせて組んであります)。チケットは日本へ郵送することも出来たのですが、別途送料がかかるので現地受け取りを選択しており、時間に余裕がある今日のうちに受け取っておくため、チケット売り場の中に入ります。うまく受け取れるか不安でしたが、予約の際に受け取ったメールを印刷したものと、決済に使ったクレジットカードがあれば特に問題なく受け取ることができました。

懸案事項が片付いたので一安心し、このあとどうしようかと思いつつ再びゲトライデガッセに戻ります。



↑ゲトライデガッセから伸びるパッサージュ。とても良い雰囲気です。

ゲトライデガッセを東に抜け、モーツァルト広場へ。ここに観光案内所があるので、バスや観光スポットで使えるザルツブルクカードを購入しておきます。24時間あればあらかた回れるだろうと思い、24時間のカードを購入して使用開始日時を記入しますが、ここでもまた年月日の順番で少し悩んでしまいました。
しかし動画を撮りすぎたせいか、ここでカメラのバッテリーが無いことに気付き、しかも予備のバッテリーもホテルに置いてきてしまっていたので、仕方なく一度ホテルに戻ることに。適当に来たバスに乗ったのですが、ザルツァッハ川沿いはそれぞれ道が一方通行になっているので、全然違う所に連れて行かれそうになり、あわてて2つ先のバス停で下車し、ホテル近くに向かうバスが止まるバス停に向かって歩き出します。幸いバス停は少し歩いた先にありました。


↑バス待ちをしているとやってきたレトロバス。これも乗ってみたかったですね。

そしてやってきたトロリーバスに乗りましたが、この車両は旧型のせいかエアコンがなく、とても暑かったです。道も少し渋滞していて、思ったより時間をロスしてしまいました。ミラベル広場で下車し、ホテルに戻ってカメラの電池を入れ替え、再びモーツァルト広場へ。ここから街のシンボルであるホーエンザルツブルク城塞に向かいます。城塞は丘の上にあるので、ケーブルカーに乗って上に上がることに。


↑ホーエンザルツブルク城塞のふもと。近づくとかなり高い所にあることがわかります。ケーブルカーの乗り場はわかりにくくて、少し探してしまいました。



↑ケーブルカーを降りてすぐのところにあるレストラン。上からの眺めは最高ですが、その分お値段も高めのようです。


↑レストランを通り過ぎ、さらに上った所が城塞の入口です。

城塞は見学コースが2つあり、まずはオーディオガイドを借りてAコースへ。しかし借りたオーディオガイドがなぜかドイツ語でさっぱり理解できないので、再び案内所に戻って日本語に設定してもらいます。日本語ガイドはあまり説明がくどくなくて簡潔で、わかりやすかったです。それによると、ホーエンザルツブルク城塞は約1000年前に最初のものが築かれた後に増改築が繰り返され、現在の姿になったのは17世紀半ばとのこと。難攻不落でも有名で、築城以来一度も攻め落とされたことはないそうです。また拷問器具が並ぶ部屋が有名なのですが、実際に使われたことはなかったのがなにより。そしていよいよてっぺんの見張り台へ向かいます。ここからは街が一望でき、最高の風景でしたが、ちょっと曇り始めてきたのだけが残念でした。



↑見張り台から東側と南側の風景。南側の×印状に小径のある庭園が気になりましたが、詳細は不明です。


↑見張り台から北側。ザルツァッハ川が左右にのび、手前が旧市街、奥が新市街と分かれています。

見張り台を下り、更に先に進むとザルツブルクの雄牛と呼ばれるオルガンの部屋があります。ここでは昔、時報の目的でオクターブと5度の音程を鳴らしていたようですが、今ではパイプオルガンのように音楽を奏でることが出来るようになっています。ただしコンソール(鍵盤)はなく、オルゴールのように回転する譜面の通りに音が鳴るようになっているようです。


↑城塞内部の廊下はかなり狭いところもあります。


↑ザルツブルクの雄牛。でかいオルゴールにパイプオルガンが付いたような構造です。

いったん外に出て、今度はBコースへ。こちらは大司教の居室や博物館が中心です。歴史的経緯から、軍事関係の展示品が多い印象でしたが、大広間はなかなか見事なものでした。ここでも音楽祭の一部プログラムが演奏されるようです。


↑建物内部にある電話交換室。なかなかレトロで興味深い。


↑大司教の居室は装飾豊かな部屋でした。

見学を終え、再びケーブルカーに乗ってふもとへ。下りた所にある池がなにやらぽつぽつしているのが気になったのですが、外に出るとなんと雨が降り出しているではありませんか。昼間はあんなに良い天気だったのにー!傘を差し、大聖堂へと向かいましたが、音楽祭の会場として使われているようで、中には入れませんでした。
そろそろ19時前になっていたので、再びゲトライデガッセに入り、夕食を食べようとシュテルンブロイというビアレストランに向かったところ、なかなか目的の建物が見つかりません。あたりを一周してみても見つからないので、よくよく見るとどうやら改装中のようで建物自体が取り壊されていました。仕方がないので今夜は第二候補だったアウグスティーナー・ブロイというビアホールに行くことにして、トロリーバスの乗り場まで移動したのですが、目的のトロリーバスは日曜運休の路線もあったりして、なかなかやってきません。すると目的地に向かう別系統のバスがやってきたのですが、バス停が違うらしく少し先に停車していたので、あわててそちらに向かって走り、なんとか乗り込みます。Landeskrankenhausというバス停でバスを降りると、目的のビアホールはすぐそばでした。


↑オーストリア最大規模のビアホールである、アウグスティーナー・ブロイ。私が向かう間にも次々と人が吸い込まれていきます。

ここは400年ほど前にアウグスティーナー派の修道士たちが創設した歴史ある醸造所なのですが、最初そのシステムがわからずしばらく周りを観察します。どうやらまずはレジで飲みたいものと量を指定してお会計を済ませないといけないようなのですが、最初あせってユーロ札ではなくてポケットの中に残っていたトルコリラを出してしまい、突き返されてしまいました(汗。再びユーロ札を取り出し、500mlのビールを注文(3ユーロ)。レシートを受け取り、その奥で注文したサイズのビアマグを自分で取って、ビールサーバーの所にいる人に渡すと、ビールを注いでくれます。そしてその横に何軒か並んだ屋台のようなお店でソーセージとパンを4.45ユーロで購入し、ビアガーデンの空いている席に座ります。グループ連れが多い中一人でビアガーデンというのはなかなか寂しいシチュエーションではありますが、背に腹は代えられません。


↑これがアウグスティーナー・ブロイのビールです。ビールは1種類しかなく、少し濁りのある色で、甘くてうまい!しかし500mlは結構多いので、一杯でかなり酔います。

ビールを飲み干したのでもう一度レジに行き、メニューにLimoって書いてあるのが見えたのでこれはラドラーの事かと思い注文すると、ただのレモネードでした。しかし酔った体にレモネードはなかなか爽快で、良い酔い覚ましになりました。味はスプライトをもう少し甘くした感じで、たぶんこれをビールで半々に割るとラドラーになるのでしょうね。レモネードを飲みながら旅行のメモをひたすら書いているうちに日はすっかり暮れていき、外はだいぶ暗くなってきましたがビアガーデンはこれからが本番という感じでした。


↑ビアガーデンはこんな感じで賑わっていました。屋内にも大人数を収容できるホールがあるようです。

少し酔いも覚めたので、最後にもう一杯ビールを頂くことに。つまみがないのは少々つらいですが、食べ物はビールに比べて高いので、買うのはやめておきました。再びおいしいビールを堪能していると、空が時折光るのが気にかかります。程なくして風も急に冷たくなってきて、ついにぽつぽつと雨が降り出しました。あわててビールを飲み干し、外に出てバス停に到着すると同時にものすごい勢いで雨が降り出したので、危なかった・・・ちなみにホーフブロイの入口には、ザルツブルク中央駅から発車する列車の運行表示盤があったりして、至れり尽くせりでした。

雨がとにかくひどかったので、最初にやってきた21系統のバスに乗り込みます。このバスは一体どこに行くんだと必死に地図を見ながら乗っていると、途中のバス停で大雨にうたれた人が次々にバスに飛び乗ってきて、たちまち超満員に。ザルツブルクは雨の多い街と聞いていましたが、ここまでとは・・・。大雨のせいで外があんまり見えず、どこを走っているのかは車内放送のバス停名だけが頼りでした。最初進行方向すら合っているか不安だったのですが、どうやら合っていたようで、しかも運良くホテル最寄りのバス停に止まってくれることがわかり、ほっと一息つきます。バス停で下車し、ホテルまで約200mの道のりを傘を差して歩きましたが、雨が止む気配はなく、ホテルにたどり着いた時にはびしょびしょになっていました。まだ21時でしたが、雨に濡れて疲れたのでもう寝ることにします。しかし濡れたまま寝たのがいけなかったのか、夜中に頭痛で目が覚めてしまいました。

翌日はいよいよザルツブルク音楽祭を見に行くのですが、それはまた次回。

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