2011年4月

    フランス・ワインの旅5日目(9/26) その1

    7時頃起床し、たまってきた洗濯物を片付けたりしていると、いつの間にか8時半になっていました。今日と明日は一日フリーなので、どちらかの日にブルゴーニュのぶどう畑をサイクリングしたいなあと思い、ネットで天気をチェック。するとどうやら明日は天気が良くなさそうなので、今日サイクリングすることにしました。

    まずは自転車を借りられるところを聞くために観光案内所へ。ついでにブルゴーニュのぶどう畑の地図を買い、教えてもらったレンタサイクル屋に向かいます。しかしどうやら10時オープンのようだったので、とりあえず朝食を食べられるところを探しがてら駅前へ。けれどもこのあたりにはカフェが全然無く、駅の目の前にあったホテルのカフェも、入ってはみたものの店員さんの姿が全然見あたらないので、あきらめて外に出ました。仕方がないので、すぐ近くのパン屋さんでパン・オ・ショコラを0.85ユーロで買い、駅構内で食べることに。パン屋の店員さんは割と愛想が良くて、助かりました。ほんとは駅構内にある自販機でカフェラテを買いたかったのですが、どうやら故障中のようで、仕方なくパンだけもぐもぐ。本場のパン・オ・ショコラはさくさくで間違いなくおいしかったです。


    ↑ボーヌ駅構内にあった証明写真機。フランスでもこんなのあるんだ!とちょっと感動しました。


    ↑コーヒーの自動販売機。故障中でしたが、動いていればちゃんとしたエスプレッソを楽しめます。砂糖もガムシロップでなくグラニュー糖が入って出てくるので、かなり本格的な味。日本にもこんな自販機が欲しいな。


    ↑パン屋で買ったパン・オ・ショコラ。クロワッサン生地の中にチョコが入ったパンです。この時食べておいしかったので、帰国後も良くパン屋さんで買うようになりました。

    そうこうしているうちに10時になったので、再びレンタサイクル屋さんへ。お店に着くと先客がいたので、10分少々待つことに。それから店主に自転車を借りたいとを伝えると、まずはどこへ行くのかと聞かれます。そこで列車でディジョンまで行き、そこから戻ってくるつもりだと伝えると、ディジョンは自転車で走るのには向いてないから、途中のニュイ・サン・ジョルジュまで列車で行って、そこから戻ってくるのがおすすめだとのこと。そしてサイクリングルートを記した地図のコピーを受け取り、自転車を借りてお店を後にします。ここの自転車はフランスGITANE社製の結構新しい自転車で、携帯用の空気入れとタイヤチューブもちゃんとついていました。

    ボルドーで借りたボロ自転車に比べればはるかに軽快な走りの自転車にうきうきしつつ、まずは一旦ホテルに戻ります。そこでタオルと水をカバンに入れ、再び外へ。上着を着るかどうしようかさんざん悩んだのですが、途中で暑くなって脱いだら荷物になるので、着ないことにしました。でも外に出ると少し寒くて、やっぱり着たほうが良かったかなとちょっと後悔。

    そして再び自転車に乗り、ボーヌ駅へ。切符を買うために一旦駅の入り口に自転車を止めると、地元に人に、ここに止めると盗られたりして危険だからあっちの駐輪場に止めた方が言いよと言われたのですが、切符を買うだけです、と説明したら、わかってもらえたようで一安心。券売機でニュイ・サン・ジョルジュまでの切符を3.3ユーロで買い、自転車のままホームに入ります。しかし列車が来る直前に、そういえば切符は駅の検札機に通さないといけなかったんだと思い出し、あわてて検札機の所へ。しかし切符を差し込んでもなかなか刻印してくれないのでちょっと焦りました。どうやら切符の入れ方にちょっとコツがいるようですね。幸い列車が到着すると同時に刻印ができ、あわててホームに向かいます。しかし今度は自転車が乗せられる車両がわからず、ちょっとわたわた。しかし私と同じく自転車を連れている人がいて、なんとかそこから列車に乗ることができました。


    ↑これが借りたGITANE社製の自転車。とても乗りやすかったです。その分料金も半日借りて18ユーロほどしましたが。


    ↑フランス国鉄のTER(地域圏急行列車)。結構新しい車両が使われていました。


    ↑列車内の自転車置き場。壁に車輪を立てかけて置くようになっています。こういう設備があるのが、日本の自転車乗りからするとうらやましいですね。


    ↑このデッキでは携帯電話が使えるということを表したマークだと思います。日本でありがちなゆるキャラっぽいデザインで、なんだか親近感がわきました。

    無事列車にも乗れ、ほっと一安心。しばらくして車掌さんが検札にやってきたので、先ほど悪戦苦闘して刻印を入れた切符を見せます。すると「この列車はニュイ・サン・ジョルジュには止まらないよ」と言うではありませんか。ええーっ!この列車、急行だったの!?と思わず天を仰いでしまいました。しかし不正乗車だと思われて罰金を取られるのはもっと嫌ですし、とにかく間違えて乗ったんだということをアピールすると(まあReally?とか言ってただけですが…)、次の停車駅であるディジョンで一旦降りて、そこから折り返してくるかと聞かれました。しかし折り返しの列車がいつなのかもわからないですし、もうこの際ディジョンで降りて行動した方が良さそうだったので、ディジョンまで行って降りますと伝えると、その場でニュイ・サン・ジョルジュからディジョンまでの切符を売ってくれました。乗り越し精算ではなかったので、最初から通しで買うよりは少し高かったですが、文句も言ってられないですし、とにかく車掌さんにはありがとうとお礼を言いました。

    そんなわけでニュイ・サン・ジョルジュを通り越し、ディジョン駅に到着。ホームにはエレベータが見あたらず、自転車を持って階段を上り下りするのにちょっと苦労しました。まあ当初はディジョンで降りて行動する予定でしたし、せっかくなのでまずはディジョン市内を観光することにします。


    ↑ここまで乗ってきたTER。なかなか無骨なデザインです。

    駅を出て、まずは1kmほど離れた街の中心部を目指します。自転車とはいえ、車も歩行者もそれなりに多いので、少し気を遣いながら走行。ここディジョンはかつてフランスをしのぐほどの大国であったブルゴーニュ公国の首都として栄えた街で、そのシンボルとも言えるのが、ブルゴーニュ大公宮殿です。



    ↑ブルゴーニュ大公宮殿は多くの観光客でにぎわっていました。ここには現在市庁舎が置かれています。




    ↑宮殿すぐそばにあるノートルダム教会。13世紀後半のゴシック様式の教会で、重厚な雰囲気でした。


    ↑ノートルダム教会の外観。雨どい部分に何体ものガーゴイルの彫刻が突き出るように付いていて、趣味が良いのか悪いのかよくわからない感じ。

    それから少し駅の方に戻り、サン・ベニーニュ大聖堂にも行ってみましたが、ちょうど日曜ミサの真っ最中でした。ミサが終わるまでお昼でも食べて時間をつぶそうと思い、悩んだ末にケバブ屋に入ることに。ケバブ屋は大体どこの街にも1軒はあるものですが、安いし味のハズレがないので重宝します。ここのケバブサンドも4ユーロですごいボリュームでした。

    そのあと大聖堂に戻ると、ちょうどミサが終わったところだったので、中に入り写真を撮ります。ここはオルガンも有名なようで、オルガン修復の事が書かれたパネルが展示されていました。



    ↑大聖堂の外観と正面。ノートルダム教会よりすっきりとした印象を受けます。


    ↑大聖堂のオルガン。ミサの時にすこしだけ演奏を聴きましたが、すばらしい音色でした。


    ↑祭壇付近の様子。天井がとにかく高い。

    大聖堂を出ると時刻は13時になろうとしていたので、そろそろボーヌに向けて出発することにします。中心部の道がちょっとややこしかったのですが、印刷していったGoogleマップを頼りに道を進んでいくと、それっぽいバス通りにたどり着きました。バス停の経路を見ると、多分これで合ってそうな感じだったので、そのまま進んでいきます。


    ↑これから走るコート・ド・ニュイ地区の地図。以降の文章はこの地図を見ながら読むと位置関係がわかりやすいと思います。


    ↑郊外へ向かうバス通り。だんだん家が少なくなってきます。

    途中逆向きに走るロードバイク集団と何度もすれ違ったのですが、なにかイベントでもあったのでしょうか。私だけ逆方向に走ってるような感じだったので、若干不安になりながらも自転車をこいでいきます。すると徐々に家が少なくなり、ぶどう畑が見えてくるではありませんか!そしてブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区最北の地、マルサネ・ラ・コートに入ります。ここはAOCマルサネとして赤・白両方のワインを生産する地区です。


    ↑マルサネ・ラ・コートの入り口。このコート・ドール地区のぶどう畑を縦断する道は「グラン・クリュ道路」と名付けられているようです。



    ↑マルサネでは赤・白ワイン両方の品種が栽培されていました。


    ↑シャトー・ド・マルサネ。マルサネの中では一番目立っている感じでした。

    マルサネ・ラ・コートからさらに南下し、クシェに入ります。ここのワインもAOCマルサネとして生産されているようです。


    ↑このあたりは起伏の多い土地で、自転車で走ると結構きついところもありました。


    ↑クシェのぶどう畑。やっと少し晴れてきました。

    クシェを通り過ぎ、いよいよフィクサンに入ります。私はこのフィクサンのワインが結構好きなので、ついに来たかーとうれしくなりました。


    ↑フィクサンの入り口。ここはブルゴーニュワインの中でも比較的リーズナブルでおいしいワインが多いので、個人的に好きな産地。ちなみにフランス語読みだとフィサンになるようです。


    ↑フィクサンではヴァンダンジュ(ぶどうの収穫)が始まっていました。まさか収穫をこの目で見られるとは思ってなかったのでちょっと興奮。

    フィクサンを過ぎ、ブロションへ。ここはあの有名なジュヴレ・シャンベルタンの北隣にあり、一部のワインはAOCジュヴレ・シャンベルタンとして出荷されているようです。


    ↑標識の下に「Vendanges(ヴァンダンジュ)」という看板が臨時で取り付けられています。ぶどう収穫中につき注意、という感じでしょうか。


    ↑そしてここでもぶどう収穫中でした。すべて手作業でぶどうが摘まれていきます。


    ↑摘んだぶどうを運ぶトレーラー。


    ↑背中に大きなかごを持ったこの人が、ぶどうを摘んでいる人たちのところを周り、各人の収穫したぶどうを集めていきます。そして最後にトレーラーに上り、背中のかごをこのように傾けてぶどうを入れていくのです。すべてが手作業で丁寧な仕事でした。

    ヴァンダンジュは一斉に行われるため、とにかく人手がたくさんいります。というわけで遠方から親戚や体験ツアーの参加者などが多数やってきている感じでした。そのため村の入り口付近には多数の車が路駐していて、非日常な雰囲気です。

    そしていよいよこれからジュヴレ・シャンベルタンに入っていくわけですが、それはまた次回。

    フランス・ワインの旅4日目(9/25) その2

    定刻の14:40より少し早く、パリ・モンパルナス駅に到着。ヨーロッパの列車は遅れるのが当たり前だと思っていたので、むしろ早く着いたことにびっくりしてしまいました。SNCFやるなぁ・・・。


    ↑パリ・モンパルナス駅。向かいのダブルデッカー車もかっこいいですね。


    ↑停車中のTGV。よく見ると先頭車両の形状が違います。

    パリに着いたといっても今日は乗り換えのために来ただけなので、ここからさらにTGVに乗り継ぎです。しかしパリは行き先別に駅が市内に分散していて、これから乗る列車はパリ・リヨン駅発だったので、そこまで移動しなければなりません。しかしSNCFのローカル線で駅間を簡単に移動できるわけではなく、地下鉄も乗り換えなしで結ばれているわけではないので、非常に面倒です。ただ91系統のバスに乗れば直接パリ・リヨン駅に行けることをあらかじめ調べていたので、駅を出てまずはバス停を探すことに。駅前はたくさんの人でごった返していて、一気に都会に放り出された気分です。スリが怖いので360度警戒心バリバリで歩きますが、最初駅を出て右側にあるバス停に行くと、そこは逆方向に向かうバス停でした。仕方なく再び駅に戻り左側のバスターミナルらしきところに行くと、ようやくそこに目当てのバス停を発見。しかしバス停にはなにか張り紙があり、辞書を片手に読んでみると、どうやらパレードで91系統は運行中断中のようです。なんてこったい・・・と思いながら、路線図とにらめっこして、ひとまず96系統に乗って途中で乗り換えることに。しかしその96系統も運休中で、仕方なく95系統に乗ることにして、まずは自販機で切符を買います。

    ほどなくバスがやってきたので乗り込みますが、結構人が多くて、荷物の多い私はちょっと大変でした。そして乗り換えるつもりだったバス停まであと少しというところで、なにやら運転手がアナウンスをしています。何を言っているかはさっぱりわからなかったのですが、途中であわてて降りていく人もいて、これはもしかして迂回路を通っているのか、と嫌な予感がしました。あわてて次のバス停で降りたのはいいのですが、ここがどこなのか全くわかりません。近くのランドマークや通りの名前を地図で必死に探し、どうやらここがピラミッド通り沿いであることがわかりました。とにかく大荷物でじっとしてると危ないので、もうバスを乗り継ぐことはあきらめ、ここから近いところにある地下鉄のピラミッド駅をめざして歩くことにします。地下鉄はちょっと怖いのであんまり乗りたくないのですが、やむを得ません。駅がどこにあるのか探しながら歩きましたが、幸いピラミッド通り沿いに歩いて行くとすぐに見つけることができました。階段を下り、再び切符を買って自動改札を通ります。

    改札から14系統のホームまでは少し距離がありました。ホームに着くとちょうど地下鉄が停車中だったので、あわてて乗車。地下鉄はほんとに周りの人との距離が近くて、異様に緊張します。特に私の真後ろに人が立っていて、その人が気になって仕方ありませんでした。14系統の地下鉄は途中の駅間がかなり長いらしく、パリ・リヨン駅までの途中駅はシャトレ駅だけでした。駅間の長いことがなおさら緊張に拍車をかけ、とにかく時間が長く感じます。しかし幸い何事もなく、パリ・リヨン駅に到着。ほんとに一時はたどり着けないかと思ったので、心からほっとしました。最初日本から切符を予約するとき、ボルドー発の列車を1本遅らせることも考えたのですが、時間の余裕を持たせておいてほんとに良かった・・・。

    さて、駅に着いたは良いのですが、ここからSNCFの駅に行くのもまた一苦労で、一体どの改札から出たらいいのかちょっと悩んでしまいました。結局改札を2回通り、無事に改札を抜けることに成功。幸いまだ乗車予定の列車までは1時間ほどあるので、余裕はありました。とりあえず発車するホームを構内の案内板で探したのですが、どうやら乗る予定の列車は新しいコンコースから発車するようです。案内板には40分前がどうとかこうとか書かれていたので、これは40分前には着いておかないといけないんだと思い、コンコースとの連絡口に行ったのですが、係員に切符を見せると、後で来いとのこと。どうやら40分前から入場できる、という意味だったようです。ちょうどお腹も空いていたので軽く何か食べようと思ったのですが、ファストフード店も見あたらず、パン屋のパンも大きいものばかりだったので、仕方なくカップ式の自販機でコーヒーを買い、またカヌレをもぐもぐ。自販機はちゃんと砂糖の入ったエスプレッソを出してくれてクオリティ高いなあと思ったのですが、いかんせんカヌレが甘すぎて、何か塩気が欲しいなあと感じます。そこでたまらずすぐそばの売店でプリングルスを買いました。

    そうこうしているうちに40分前になったので、ホームへと向かいます。新しいコンコースはまだ工事中で、ベンチもほとんどなく人でいっぱいだったので、こりゃあ入場制限するのも当然か、と思いました。発車まではまだしばらく時間があるので、列車の写真を撮って回ることに。


    ↑TGVの先頭車両。動力集中方式のため、先頭車両は電気機関車です。


    ↑TGVにはダブルデッカー車もあります。これも乗ってみたかったなあ。


    ↑パリ・リヨン駅の駅標。

    私が乗る列車の発車番線がなかなか表示されないのでやきもきしていたのですが、発車20分前になってやっと表示されました。それによると19番線の発車とのことなのですが、19番線発車の列車はなぜか2つ表示されています。一体どういうことなんだと思いましたが、どうやら行き先の違う2つの列車が途中まで連結されて走るようです(関空・紀州路快速みたいなものですね)。そこでまずは私の乗る15号車を探しつつ先頭車両まで歩いてみたいのですが、なんと15号車が2つあるではありませんか。一体どういうことなんだと混乱してしまったのですが、どうやら片方は表示が間違っていたようです。これで乗り間違えたら全然違う行き先まで連れていかれることになりかねないので、慎重にならざるをえません。とりあえず先頭車両から順番に号車表示を見ていき、前後の号車の関係からここが15号車だろうというところに乗車しました。しかしさすがに20両編成もあると、先頭車両まで歩くだけでも5分近くかかってしまうので、結構時間ぎりぎりであせりました・・・。


    ↑発車番線表示。私が乗るTGV 6789は左側下から2番目に表示されています。これを乗り間違えると、もう1つの行き先、スイス・ベルンまで連れていかれます・・・。

    無事に座席も見つけ、列車は定刻に発車。ここからは約2時間の列車旅なのですが、今度は進行方向と同じ向きに座ったので、かなり楽です。


    ↑今回乗ったTGV車内。先ほどパリまで乗ってきたのに比べてやや古い車両のようです。


    ↑先ほど買ったプリングルスをぱくっ。塩気がたまらなくおいしく感じました。テーブルの形も先ほどのTGVとは違います。メモ帳はこの旅行記を書くために旅行中こまめに付けているもの。


    ↑TGV車窓からの景色。このあたりはおそらく最高速度270km/h運転が可能なLGV区間だと思われます。スピード感がすごいですが、電気機関車が離れたところにあるので、車内はとても静か。


    ↑虹!

    パリから約1時間で最初の停車駅、Montbard(モンバール)に到着します。そこからさらに40分ほど走ると次の停車駅、Dijon(ディジョン)。ディジョンはカシスリキュールやマスタードで有名な街で、ここで下車する乗客も多かったです。列車もここで分割されましたが、ほんとにこれで行き先合ってるのか、最後まで不安でした。

    ディジョンから先はいよいよブルゴーニュワインの産地に入っていきます。途中、ジュヴレ・シャンベルタン、ニュイ・サン・ジョルジュなど、ワイン好きにはたまらない産地名の書かれた駅を通過していきます。途中でぶどう畑が見えましたが、ボルドーとはぶどうの植え方が違うように見えました。そしていよいよ列車は目的地、Beaune(ボーヌ)に到着。ここまであわせて5時間以上の列車旅でしたが、インターネットでの早期予約による特別価格とはいえ、これだけ乗って39ユーロ(約4,500円)というのは破格だなぁと思いました。飛行機との競争が激しいとはいえ、日本の新幹線が高く感じて仕方ありません。

    ボーヌはブルゴーニュワインの中心地ということもあり、私以外に降りる人もそれなりにいました。もう夜の7時を回っていたので、早々にホテルへと向かいます。


    ↑日の暮れてきたボーヌ駅ホーム。左に停車しているのが、ここまで乗ってきたTGVです。


    ↑ボーヌ駅の駅舎。ボルドーに比べればはるかに田舎な雰囲気でした。


    ↑ボーヌはかつて城壁に囲まれた街だったのですが、その名残が街の入り口にまだ残っています。

    駅は街の中心部から1kmほど離れているので、まずは歩いて中心部を目指します。城壁の間を通り抜け、街の中心部へ。途中ずっと石畳なので、スーツケースを転がすのが大変で仕方ありませんでした。中心部の観光名所が立ち並ぶ一角にようやく今日泊まるホテルを発見し、チェックインを済ませます。部屋は3階の一番奥だったのですが、このホテルにはエレベーターがないのでスーツケースを上げるのに一苦労しました。部屋はそこそこきれいで冷蔵庫もあり、悪くない感じです。ただフロントから離れているせいか部屋で無線LANの電波が全然入らないので、ネットをするときだけはロビーまで行かないとだめな様子。

    もう20時前になっていたので、まずはとにかく晩ご飯を食べなければということで、フロントに行きおすすめのレストランを聞きます。そこでお店を2軒教えてもらったのですが、ちょうど今は混み合う時間帯だから入れないかもしれないとのこと。とりあえずそのうちの1軒に行ってみたのですが、やはり一杯で断られてしまいました。そしてもう1軒の方もやはり一杯。中心部のレストランは外から見る限りどこも一杯のようで、まさかこんなにレストラン選びに困るとは思ってもみませんでした。街が小さい割に、観光客や時期的にぶどうの収穫を手伝いに来た人が多いのかもしれません。

    仕方がないので店先のメニューをチェックしつつ、元来た駅の方面へと歩いて行きます。しかし途中で雨が降り出してきて、これは早く店を決めないとやばい、と焦ってきました。幸いたまたま通りかかったレストランでお客さんが出てくるのを発見し、すかさずそのお店、マドレーヌ広場前のLe Belenaに入ることに。少し悩んでMenu Bourguignonという定食を注文しました。


    ↑アペリティフはキールにしました。近くのディジョンで採れるカシスを使ったリキュールはクレーム・ド・カシス・ド・ディジョンと呼び、良質なカシスリキュールの代名詞となっています。そしてキールというカクテル自体もディジョン市長であったフェリックス・キールの考案したものとあっては外せません。付け合わせのオリーブもおいしかったな。


    ↑Oeufs pochés en meurette(卵の赤ワイン煮ブルゴーニュ風)です。赤ワインの入ったシチューに半熟卵とパンが入ったような感じの郷土料理。安心して食べられる味でした。そしてワインはボーヌの白です。ほんとは赤を頼んだつもりだったのですが、あとからメニューを見返したら白のページを見てました・・・。


    ↑そしてメインディッシュのbœuf bourguignon(牛肉の赤ワイン煮込みブルゴーニュ風)。こちらもやはり先ほどと同じような赤ワイン煮込みでおいしかったです。そして今度こそ赤ワインを注文。アロース・コルトン2002を頂きましたが、結構年数が経ってるだけにとがった所がなく、今まであまり好んでブルゴーニュワインを飲んでこなかった私にとって、目から鱗が落ちるようなうまさでした。


    ↑最後はチーズ4種盛りで〆です。思ったよりチーズが濃厚で量が多く、もう一杯ワインもらおうかとも思ったのですが、もう結構回ってきていたのでやめておきました。

    ブルゴーニュワインのおいしさにも目覚め、値段も36.8ユーロ(約4,200円)とそれほど高くなかったので満足でした。カードで支払い、店を出るとめちゃめちゃ寒い!凍えそうになりながら早足でホテルに戻ります。ボルドーとのあまりの気候の違いにびっくりしました。ホテルに戻り、ロビーでしばらくネットにつないでから、11時には就寝・・・。

    翌日はブルゴーニュのワイン畑を自転車でめぐりますが、それはまた次回。

    フランス・ワインの旅4日目(9/25) その1

    なんだか夜中は外が騒がしかったのであんまり熟睡できないまま7時前に起床。ネットで調べ物したりシャワー浴びたりしているうちに8:30になったのでホテルを出ることにします。まずボルドーで日本人の方がやっているというワインショップを探してみたのですが、見つけられなかったので、あきらめて朝ご飯を食べるところを探すことに。大劇場すぐ横にあるテイクアウトも出来るカフェで、カフェオレとアーモンドのパンのセット 2.6ユーロ(約300円)を購入。パンはアマレットの香り(杏仁豆腐みたいな感じ)がしてなかなかおいしかったです。

    それから別のパン屋さんに行き、おみやげにボルドー名物のカヌレを2つ購入。ピーマンみたいな形をした焼き菓子で、1個1.6ユーロでした。その後歩いて昨日も訪れたサンタンドレ大聖堂方面に向かいます。


    ↑右下に見えるのは線路で、ここをトラムが走っています。トラムに乗りながら大聖堂を眺めることができるなんて良いなぁ。


    ↑すぐそばにあるペイ・ベルラン塔。上ると眺めが良いらしいですが時間がないので上りませんでした。左下にはHôtel de Ville電停が見えています。


    ↑大聖堂前を走るトラム(この写真の右側が大聖堂)。架線のない良さが最大限に生かされていると思います。


    ↑トラムの電停名にもなっているHôtel de Ville(市庁舎)。石造りの重厚な建物です。


    ↑近くのお店に飾られていたカレンダー。日本の味・・・?間違ってるわけじゃありませんが、絵がいかにもな感じ。

    その後、地図で見て気になっていた、カンコンス広場西側の三角地帯の真ん中に行ってみることに。するとそこにはCentre Commercial Les Grands Hommesというショッピングセンターがありました。中に入るとすぐカヌレ専門店のようなお店があり、普通のカヌレからすごく小さなカヌレ、そしてカヌレの焼き型まで、様々なカヌレ関連商品が売られています。カヌレはさっき買ったところでしたが、ここでもトラディショナル・カヌレというものを2つ買うことに。


    ↑ショッピングセンター近くにあるノートルダム教会。

    それからマグナムという有名なワイン専門店に行き、おみやげのワインを選びます。いろいろ悩んでいると店員の男性がやってきて話しかけられ、ちょっとわたわた。メドックのワインを探していることを伝え、ワインを指さしてたどたどしいフランス語で”Cépage?”(ブドウ品種の割合のこと)と聞くと、ちょっと難しい顔をされてしまったので、申し訳ないことをしたかな・・・と思ったり。そりゃすべてのワインのセパージュなんて覚えてるわけがないよなぁ。結局AOCサンテステフのワインを24ユーロ(約2,700円)で購入しました。お店には途中で日本人老夫婦も来ていたので、日本人観光客がよく立ち寄るスポットなのかもしれません。昔は日本人の店員さんもいたそうで、その頃に来たかったですね(その方が独立してやっているお店を、朝探していたのです)。

    まだ時間があったので、ホテル近くの本屋へ。街の普通の本屋なのですが、とにかく日本のマンガの品揃えに圧倒されました。結構日本で発売されて間もないマンガも目立つ中、キャプテン翼の単行本が異彩を放っています。しかし単行本は多いですが、欲しかったマンガ情報誌はあんまり置いてませんでした。もしかしたら違うコーナーにあったのだろうか・・・。マンガコーナーでは熱心に品定めをする少女の姿もあり、人気があるんだなぁと改めて感じました。とりあえず買う物がなかったので入った入り口から外に出ようとすると、進入禁止のマークが。どうやら出口はレジのあるところ1カ所だけのようで、何も買ってないとすごく出にくかったです。

    そしてホテルに戻り、支度をしてチェックアウト。トラムを乗り継いでボルドー・サン・ジャン駅に向かいますが、少しトラムが遅れているようで乗降客が多く、間に合うのかちょっと心配になってしまいました。幸い予定の10分前には駅に到着し、ここでフランス国鉄に乗り換えです。座席指定なので必要かどうかはわからなかったのですが、とりあえず駅入り口の刻印機に切符を通してから入場。


    ↑ボルドー・サン・ジャン駅。駅舎は一部工事中でした。


    ↑列車案内板。液晶表示というハイテクさにびっくりしました。ある意味日本より進んでるかも。右側がこれから乗る列車。左側はカキで有名なリゾート地、アルカション行きのTER(急行)です。


    ↑コンコースのアーチと大時計。こういう駅舎は日本にはほぼ皆無なのですてきだなと思います。


    ↑今日乗る列車の切符(今から乗るのは上の段の列車)。11:25ボルドー・サン・ジャン駅発の14:40パリ・モンパルナス駅着のTGV 8528号です。その右側に2等車の5号車、座席番号27番、窓際と書かれています。


    ↑改めて列車案内板のアップ。私が乗るのは5号車なので、Tという表示のあるあたりで待っていればいいことがわかります(ホームにはここが○号車乗車口、という案内はない)。にしても20両編成とはすごい・・・。


    ↑ホームには私と同じ列車を待つ人がたくさんいました。右端中央に青地に白文字でTと書かれた看板があるので、ここで列車を待ちます。

    ほどなく列車が入線し、車内へ。長距離移動者が多いのか、とにかく大荷物を抱えた人が多くて、車内の移動も一苦労です。列車内の座席は結構埋まっている感じで、20両もあるのにすごいなぁと感心。初めてのTGV乗車ということもあって、もうテンションが上がりまくりです。列車はほぼ定刻に発車し、結構なスピードで飛ばしていきます。このあたりはTGVの最高速度は出していないと思うのですが、それでも200kmほど出しているようで、ものすごく速く感じました。


    ↑TGVの車内。紫を基調にした割と新しい車両でした。進行方向が自分の向きと逆方向だったのを除けば、快適快適。


    ↑お昼ご飯代わりに先ほど買ったカヌレをもぐもぐ。初めて食べましたが、外見に反して中はやわらかい感じです。蜜蝋の独特の味がして、おいしいですがたくさんは食べられないかな・・・という感じ。

    発車してしばらくすると、ぶどう畑が見えてきます。ボルドーともお別れかあと思いながら、ぼんやり景色を眺めていましたが、なかなか車掌さんが検札にやってきません。ほんとにこの切符で大丈夫なのか不安なので早く来て欲しいのになあと思いつつ、結局検札に来たのは1時間以上経ってからでした。ちなみに乗ってから気づいたのですが、フランスの列車って左側通行なんですね。車もトラムも右側通行だったのに、列車だけ左って変わってるなぁ。

    だんだん景色に変化がなくなってきて、眺めているのにも飽きたので本を読んで過ごします。途中で風車が見えたので、思わずパシャリ。

    まさかとは思ったのですが、結局パリに着くまでの約3時間、途中駅は全くなくノンストップでした。パリまでは600kmほどあるはずなので、東京-大阪間をノンストップで走る感じなわけですから、改めてすごいなあと実感。

    パリからは列車を乗り継いでブルゴーニュに向かうのですが、それはまた次回。