フランス・ワインの旅2日目(9/23) その1

いつも海外旅行二日目は時差ぼけのせいで早く目が覚めてしまうのですが、今回もご多分に漏れず4時頃に目が覚めました。しかしさすがに早すぎるのでもう少しだけ横になり、5時過ぎに起床。そして大変な事に気づいてしまいます・・・。なんと部屋の鍵がどこにも見あたらないのです!あわてて部屋中を探し回ったのですがどこにもありません。この部屋の鍵はパンチカードみたいな穴の空いたカードになっていて、鍵穴に差し込んだままドアの取っ手を下げるとドアが開く方式になっていたのですが、そういえば最初この部屋に入ったときに、鍵を抜いた記憶がないなあと夜中起きたときに気づいて嫌な予感がしていたのです。しかしとりあえず気持ちを落ち着かせなければと思い、まずはシャワーを浴びることに。その後フロントに電話し、つたない英語で鍵が見あたらないのだがそちらで保管されていないかと聞くと、どうやら預かってくれているようでほっと一安心。しかし英語力に自信がないので、身支度をしてフロントに行くと、鍵はここにあるよ、と見せてくれました。とにかく最大限の感謝を述べてホテルを出ます。ほんとに鍵無くしてたらどうしようかと思った・・・。

時刻は6:30だったのですが、ゴミ収集している作業員がいる他は人通りもなく、外は真っ暗でした。サマータイムの関係で朝は1時間早いのですが、それにしても真夜中のようで変な気分です。まずはホテル近くのGambetta(ガンベッタ)電停に行き、トラムB線に乗ってQuinconces(カンコンス)電停に向かうことにします。まず券売機で切符を買おうと思ったのですが、最初使い方がよくわからず、そうこうしているうちにトラムが行ってしまいました。券売機には丸い出っ張りが付いていて、これを回して操作するということに最初気づかなかったのが原因だったのですが、なんでタッチパネルとかにしなかったんでしょう・・・。


↑Gambetta電停の様子。見ての通り外はまだ真っ暗です。

次のトラムは10分以上待たないと来ないようだったので、あきらめてカンコンス広場まで歩くことにします。昨日はあんなにたくさんの人が歩いていた大通りが、嘘のように静まりかえっていました。


↑ライトアップされた大劇場。ボルドーのトラムは中心部では景観を守るため架線がありません。線路だけあるのはなんだか不思議な光景ですね。

カンコンス広場までは歩いて10分もかからない距離でした。ここからトラムC線に乗って終点のLes Aubiers電停に向かうのですが、まだトラムが来るにはしばらく時間があります。というわけで電停でトラムを待っていると、新聞配達のお兄さんが新聞を1部くれました。急なことでびっくりしたのですが、どうやらDirect Bordeaux 7という無料日刊紙のようです。といっても24ページのタブロイド判でなかなか立派なもので、こんなのが毎日無料で配られてるなんてすごいなあ・・・。フランス語はさっぱりわからないので写真だけ眺めているとトラムがやってきたので、乗り込むことにします。

まだまだあたりは真っ暗でしたが、乗客はそれなりにいました。約20分でLes Aubiers電停に到着し、まずはどこかで朝ご飯を調達したかったのですが、あたりにお店っぽいものが見あたらず断念。


↑Les Aubiers電停に停車中のトラム。このあたりは架線からパンダグラフで給電しています。

ここからは705番のバスに乗り、ボルドー郊外のポイヤック村を目指します。以前はカンコンス広場からバスが出ていたようなのですが、トラムが延伸したためかLes Aubiers電停の一個手前のPlace Ravezies電停発着になっていました。Place Raveziesから乗っても良かったのですが、バス停の位置がいまいちよくわからなかったのでパス。Les Aubiers電停のすぐ横にはバスターミナルがあったのですが、705番のバス停はそこではなく、すこし線路を戻った道路沿いにありました。7:33発の予定だったのですが、なかなかバスが来ない上に、先に706番のバスが来たりしてちょっとどきどきします。なんせこのバスの次の便は3時間後なので、絶対に乗り遅れるわけにはいかないのです。結局5分以上遅れてやっとバスがやってきたので、まずは運転手に行き先を告げて切符を買います。9.2ユーロって高いなあと思いましたが、目的地までは1時間ちょっとかかるので仕方ありません。

バスに乗るころには空もやっと明るくなってきて、晴れ間も見えてきました。そして郊外に出るといよいよブドウ畑が見えてきます!しばらく道路沿いの景色をかじりつくように見ていました。


↑バス車内から眺めたボルドーのブドウ畑。テンションがだんだん上がってきます!


↑車窓からの景色を動画で。

乗客は最初ほとんどいなかったのですが、途中で小学生たちがちらほら乗ってきて、賑やかになってきました。この路線は通学路線的な使われ方をされているようですね。バスは途中マルゴー、サン・ジュリアンと有名なワイン産地を通過していき、いよいよポイヤックへと入っていきます。私はポイヤックの入り口にある、Pauillac St. Lambertバス停で降りるつもりだったのですが、車内に降車ボタンが見あたらないのできっと運転手さんが止めてくれるんだろうと思っていたら、なんとそのまま通過してしまうではありませんか!あわてて運転手さんのところに行き、アピールするとなんで言ってくれなかったんだ的なそぶりをされましたが、なんとか次のバス停で降ろしてくれました。仕方ないので1つ前のバス停までとぼとぼと歩いて引き返すことに。戻る途中にもブドウ畑が広がっていたので、写真を撮ったりしながら戻ります。しかしバスに乗っている間は晴れていたのに、なんだか曇り空になってきました。

そして9:15頃に今日最初の目的地、シャトー・ピション・ロングヴィル(ピション・バロン)に到着。ここはポイヤックにある2級シャトーで、2級とは言え日本で買えば1本1万円以上は確実にするようなワインを作っているシャトーです。あらかじめ旅行の数週間前に日本から見学希望のメールをいろんなシャトーに送っていたのですが、1級シャトーにはことごとく断られてしまい、最終的にOKしてくれたのがここでした。9:30から案内してもらうことになっていたのでまだ時間には少し早かったのですが、案内所に入ると早速案内してくれるようだったので、案内係の女性について外に出ます。案内してくれた方は結構若かったのですが、すごく説明が一生懸命で、とても好感がもてました。他にも見学希望の方がいると思ったのですが、どうやら私一人だけのようです。


↑ピション・バロンのセカンドワインのラベルにも描かれているシャトー。まさにボルドーのシャトーという風格がありますが、現在は人は住んでおらず、レセプション等で使用されるそうです。

まずはシャトーの概略の説明をうけ、ぶどう畑へ。ここではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、プティ・ヴェルドという3種類のぶどうを栽培しているけども、それぞれ好む土壌の性質が違う、ということを説明してくれました(カベルネ・ソーヴィニヨンのほうが乾燥した土壌を好むそうです)。またぶどう畑の畝の端にはバラが植えてあるのですが、これはなにか異変が起こったときに真っ先にバラが枯れることで異常を知らせるという、カナリア的な役割があるそうです。これは知らなかったのでへぇー!と思いました。といっても私も英語がそんなに理解できるわけではないので、わからなかったことも多かったです。とにかく1対1だったので、しきりになにか質問はないですか?と聞いてくれるので、何を聞いていいやら・・・と悩みっぱなしでした。

その後、シャトーの脇にある建物へと案内されます。まずは瓶詰めの設備を見た後、ステンレスタンクの並ぶエリアへと向かいました。


↑収穫されたぶどうを、人の手で選別をするための台。ちょうど収穫時期だったので、午後から作業が始まるようでした。


↑発酵、貯蔵のためのタンク。これ以外にも、ここのエリアの地下にもっと巨大な貯蔵タンクがあるそうです。

その後貯蔵樽の並ぶカーヴへと案内されます。新旧2つのカーヴがありましたが、空調管理されておりとても近代的な雰囲気でした。新しい方のカーヴはシャトー前の池の真下にあったのですが、これはおそらく湿度の維持のためではないかと思われます。また樽はすべてフレンチ・オーク製で、複数のメーカーから購入しているとのことでした。


↑樽のずらっと並ぶカーヴ。こちらは古い方のカーヴだそうです。

新しい方のカーヴでは、スーティラージュ(澱引き)の作業を見せてもらえました。ワインは樽に貯蔵していると底の方に澱(おり)がたまってくるので、定期的に上澄みを取り出して別の樽に移す作業をしています。底に近づいてくると、グラスに入れたワインをろうそくにかざして澱の具合を見て、ワインを止める瞬間を注意深く決定するのです。今でもろうそくを使って作業をしているのがとても印象的でした。


↑スーティラージュの様子。こんな感じで作業していました。

またスーティラージュの終わった樽は洗浄して再び使用するのですが、洗浄は湯気の力を利用して行っているのが面白かったです。その後シャトーのボトルコレクションを見せてもらいましたが、70年以上前のボトルがあったりして興奮しました。なんでも100年以上前のワインもコレクションされているそうです。


↑ワインのコレクション。1934年の文字が手前に見えます。

一通りの見学が終わり、いよいよ待ちに待った試飲です!試飲は3種類で、まずは同じオーナーの別のシャトーのワイン(名前を忘れましたが2006年もの)、そしてセカンドワインのトゥーレル・ド・ロングヴィル2006、そして最後にシャトー・ピション・ロングヴィル2004という順番でした。試飲の仕方がわからなかったのですが、まず最初に案内してくれた人がワインの状態をチェックするため、先に試飲してくれたのでそれを見てやり方を学ぶことに。まず色を見て、それから香りをかいで、そして口に含むのですが、このとき空気に触れさせるためにグラスもテーブルの上で激しく回しますし、口に含んでからも意外と大きな音を立ててすするというか、攪拌させていたのでちょっとびっくりしました。そして最後に容器に吐き出します。別に飲んでも良いとは言われましたが、3種類全部飲んだら味がわからなくなりそうだったので、飲みつつ吐き出すというような感じで進めていきました。しかし口の中で空気を含ませるのが意外と難しくて、何度かむせそうになりました(笑)。


↑試飲室の様子。テーブル端の黒っぽい容器は、ワインを吐き出すためのものです。

最初のワインには特に感想はありませんでしたが、トゥーレル・ド・ロングヴィル2006は、メルローの比率が高いとのことで、少しポムロルやサンテミリオンのワインに近い印象でした。そしてシャトー・ピション・ロングヴィル2004は、とにかく力強い味わいで、もっと熟成させると一体どんな味になるんだ・・・といろいろ想像をかき立てられました。こんなすごいワインを飲んだのは初めてなので、さすがにこれは全部飲ませてもらいました。どれが一番好みかと聞かれたのですが、今の時点で飲むならトゥーレル・ド・ロングヴィル2004でしょうね。ただ10年後はシャトー・ピション・ロングヴィル2006の方がおいしくなっているかもしれません。

見学も終わり、最後に見学料の7ユーロを払います。そのとき日本から持って行った浪の詩(粟おこし)を渡したらすごく喜んでもらえました。笑顔で別れを告げ、しばらくシャトー内の写真を撮って回ることにします。


↑ピション・バロンのぶどう畑。畝の端にバラの花が咲いています。


↑畑のぶどうはこんな感じ。デラウェアに近い感じですが、種があって皮が厚いです。そしてなにより甘い!


↑バラとシャトー。よく手入れされた庭でした。

その後、道路を渡って向かい側のシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(ピション・ラランド)と、シャトー・ラトゥールを見ていきます。ピション・ラランドは、さっき見学したピション・バロンと元は同じシャトーだったのですが、現在は別のシャトーになっています(どちらも2級シャトー)。シャトー・ラトゥールは5つしかない1級シャトーのうちの一つで、ワイン好きには超有名なシャトーなのでここも外せません。


↑シャトー・ラトゥールの門。インターホンがあり、遠隔操作されているようです。


↑ピション・ラランドのシャトー。ピション・バロンと雰囲気がよく似ています。


↑ピション・ラランドの発酵タンク。ドアが開いていたのでちょっとのぞかせてもらいました。


↑奥では収穫されたばかりのぶどうから実だけを分離する除梗(じょこう)という作業をしていました。ぶどうの房が機械によって揺すられて、実が分離されるようです。

それから少し歩いてポイヤックの中心部へ。まずは観光案内所に向かいます。ここはMaison du tourisme et du vinという名前の通り、ワイン関連のおみやげ物も充実しています。


↑観光案内所の建物。ポイヤック村入口のロータリーを右に曲がり、ジロンド川につきあたるすぐ手前にありました。


↑表に置かれていた、顔を出して写真を撮る用のパネル。こういうのって日本独特のものだと思ってたのですが、フランスにもあるんだと知って胸熱でした(笑)。

ここではワインのジャムを買い、案内所でレンタサイクルの場所を聞いて外に出ます。レンタサイクルは近くのAVIAというガソリンスタンドでやっているとのことだったので、そこに向かうことに。パスポートのコピーを見せ、6時間10ユーロで無事自転車を借りることに成功しました。


↑ジロンド川沿いの風景。このあたりがポイヤック村の中心部のようです。


↑自転車を借りたガソリンスタンド。


↑借りた自転車がこれ。まさかこの先あんなに苦労することになるとは・・・。

自転車に乗るととにかく移動が早い早い。しかし自転車があんまり良くないせいか、ギアチェンジがどうもひっかかる感じです。そろそろ12時だったのでどこかでお昼ご飯を食べようと思ったのですが、適当な店が見つからなかったのでとりあえず自転車で移動することに。たまたま途中でパン屋さんを発見したので、そこでチーズの乗ったパンを購入し、近くの公園で食べることにしました。


↑なんとも形容しがたいのですが、チーズの味が濃厚で、ハーブもきいておいしいパンでした。あんまり日本ではないタイプですね。

簡単に腹ごしらえを済ませ、再び出発。とりあえず北に向かって進んでいくと、シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・ラフィット・ロートシルトというボルドーだけでなくフランスを代表する1級シャトーが見えてきました。


↑シャトー・ムートン・ロートシルトの畑。こうやって畑を見る限りでは他の畑ととりたてて違うようには見えないんですよね。ここはシャトーの場所がいまいちよくわかりませんでした。


↑シャトー・ラフィット・ロートシルトの畑。見学者が多いだけあってこのように案内板が立っていました。


↑このあたりはやや起伏の多い土地でした。これがぶどうにも影響をあたえているんでしょうね。


↑シャトー・ラフィット・ロートシルトの建物。門が閉まっていて中には入れませんでしたが、立派な建物でした。敷地内には池もあったりして、お金かかってるなあ、という感じ。

2つのシャトーをあとにし、さらに北にあるサンテステフ村へと向かいます。しかしその直前でいきなり自転車のチェーンが外れてしまい、フロント側のチェーンホイールの隙間にがっちりと挟まってしまいました。工具も何もないので素手で格闘すること約10分、ほとんど途方に暮れかけていたのですが、なんとかチェーンを戻すことに成功。しかしテスト走行で再度チェーンが外れてしまい、再び格闘する羽目に・・・。とりあえず戻すことはできましたが、次にいつ外れるかとびくびくしながらリスタート。


↑サンテステフ村入口に立つシャトー案内板。2級シャトーのモンローズや、4級シャトーのラフォン・ロシェなどの名前が見えます。

このあたりでやっと天気も回復してきて、晴れ間が見えてきます。と同時にちょっと暑くなってきました。このあたりはほんとに見渡す限りぶどう畑!という感じで、自転車で走っていてとても楽しかったです。


↑このあたりはとにかく一面にぶどう畑が広がっていました。向こう側にジロンド川が見えます。


↑まさに地平線の彼方までぶどう畑、というイメージ。

サンテステフでは特にあてはなかったのですが、とりあえず村の中心部に向かうことに。しかし到着したのはいいものの、今度はリアホイール側でチェーンが外れてしまいました。こちらもガッチリとギアとフレームの間にチェーンが挟まってしまい、全く外すことができません。再び10分以上格闘し何とか直すことができましたが、チェーンが痛んでしまったようでどうにも調子がよくありません。とにかく極端なギア設定にすると外れそうだったので、細心の注意を払いながら走りだします。

このあと引き続きいろんなシャトーを見ていきますが、続きはまた次回。

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