2004/08/27 北陸旅行 三日目


この日も朝6時頃起床。今日のメインイベントは立山黒部アルペンルートの通り抜けだったので、ちょっと早い電車に乗らないといけなかったのです。というわけで朝ご飯を食べる間もなく駅へと向かいました。


七尾から乗ったのは快速だったので、一昨日金沢から七尾に向かったときよりはだいぶ速かったです。といっても速いのは途中駅での列車行き違いがほとんどなかったから、というのが大きい気がします。3両編成でしたが乗客はかなり多く、最初座れないほどでした。やはり学生の姿がかなり目立ちましたが、金沢へ通勤する会社員も結構いるような感じでしたね。

津幡では次の列車までだいぶ時間があったので、とりあえず売店でパンを買い遅い朝食を済ませました。ほんとは喫茶店にでも入りたかったのですが、駅近くにそういう店が見つからなかったので仕方ありません。津幡から富山までは十分座れるぐらいの乗客数でした。

富山駅では名物の「ますのすし」を買い、電鉄富山駅へ。ここで立山黒部アルペンルートの通り抜けに必要な交通機関の乗車券をまとめて購入しました。あとでいちいち買うのは大変なので、ここで買うのがおすすめです。10,320円となかなかお高いですが、まあやむを得ません。とにかく富山では乗り換えが8分しかなかったので、かなりあわただしかったです。

乗車前、車内は立山に向かう人でいっぱいなのでは、と危惧していたのですが、そんな心配は杞憂に終わりました。2両編成でしたがとにかく車内はがらがらで、全部で10人ぐらいしか乗っていませんでした。大丈夫か富山地鉄、と思いましたが、まあ平日の午前中なので当然なのかもしれません。寺田駅と岩峅寺(いわくらじ)駅で多少乗客の乗り降りがあった以外、ほとんど人の移動はありませんでした。岩峅寺駅からは駅間も広くなり、だんだんと山あいの景色になっていきます。途中有峰口駅で列車行き違いのために5分ほど停車したので写真を撮ったりしたのですが、天気も良くてとてもすがすがしい空気でした。そこから10分少々で終点の立山に到着。ここでケーブルカーに乗り換えです。

富山地方鉄道の車両
私が乗った立山行きの車両です。富山地鉄の車両は塗装が結構ばらばらです。
有峰口駅にて
有峰口駅での停車中に撮った1枚。もうだいぶ山の中といった感じです。

立山まで乗ってきた電車の乗客は数人だったので安心しきっていたのですが、ケーブルカーに乗ろうとして乗り場に行くと、まずはその観光客の多さにびっくり。さっきまであんなに人少なかったのに、なんやねんこれはー!と思いましたよ。たぶんここまで車かバスで来て、ここからケーブルカーに乗る人が多いんでしょうね。というわけでここからはラッシュアワー並の人混みの中、ケーブルカーに乗車しました。しかしケーブルカーだけでなくこの先の交通機関もそうだったのですが、切符の改札がすべてバーコードなのはびっくりしました。このケーブルカー、普段は20分間隔での運行なのですが、さすがに乗客が多いので10分間隔に増発されていて、私はそれに乗りました。ほんとは次のに乗るつもりでのんびり歩いてきたので、ちょっと焦りました…。で、ケーブルカーですが、ほんとにあっという間に高いところまで連れて行かれた感じで、景色はとても良かったです。ここで標高977m。

立山ケーブルカー
立山ケーブルカーの写真です。小さい運転台が前に付いているのがおもしろいですね。その上にある緑色のシートがかかっているところは大きい荷物置き場です。
こんなに上ってきました
美女平に着く直前にケーブルカーの中から撮ったものですが、とても良い眺めでした。

ケーブルカーの混雑もたいがいだったのですが、美女平バスターミナルもとんでもない人混みで大変なことになっていました。平日だというのになんなんだーと思いながら列の後ろに並び、バスの到着を待ちます。周りの人を見ると旅行会社のバッジを付けている人がほとんどだったので、たぶんツアー旅行なんでしょうね。えらいとこに巻き込まれたなぁ…と嘆いたりしているうちにバスが到着。でもとてもバス1台で乗り切れるような人の数じゃなかったので、まさか20分後の次のバスを待てっていうんじゃないかと不安でしょうがなかったです。まあでもすぐに次のバスが来たので、なんとかそれに乗ることができました。

バスは約50分かけて、標高2450mの室堂(むろどう)まで一気に上ります。途中テープによる観光案内が流れ、名所ではバスが一旦停止してくれます。この道路はこのバス専用道路で、一般車両は乗り入れができないようです。バス自体も低公害車のようで、いろいろと環境には気を配っているようですね。標高が高くなるにつれてだんだん高い木が少なくなっていき、高山帯らしくなっていきます。途中の弥陀ヶ原(みだがはら)にはホテルがあったのですが、こんな所に泊まるのもたぶん楽しいでしょうねえ。終点の室堂バスターミナルにはほぼ時間通りに到着。

美女平バスターミナル
美女平バスターミナルの様子です。とにかくものすごい観光客の数に圧倒されました。
ソーメン滝
天狗平近くから見えるソーメン滝です。細く白い糸を引くように流れる様子が素麺のように見えるからこの名が付いたようです。このあたりに来るともう高木は見られません。

室堂バスターミナルからバスを降りた瞬間、思わず「寒っ」とつぶやいてしまいました。それもそのはず、このあたりの気温は15度ぐらいしかありません。富山のあたりは30度以上あったことを考えると、えらい違いです。あわてて荷物の中から長袖シャツを取りだして着ました。バスターミナルの中も観光客だらけで、ほんとにここは標高2450mの高地なのか?と疑いたくなりました。しかもケータイも普通に通じましたしね。でもバスターミナルの外に出ると、その風景は明らかに高地そのものでした。空気がとても澄んでいて、寒い割に日差しがきつく感じます。外も観光客がたくさんいましたが、とりあえずは腹ごしらえをしようと思い、その辺の石に腰掛けて富山で買ったますのすしを食べました。こんな高地で食べるますのすしというのもなかなか格別です。ますのすしって本来ケーキのように切り分けて食べるものなので、そのままではちょっと食べにくいのですが、それでもおいしくてあっという間に食べ終わりました。

おなかいっぱいになったところで散策開始。まずは眼前に広がる立山の主峰、雄山をじっくり眺め、それからみくりが池という綺麗な池を見てから、地獄谷へと続く道を降りました。地獄谷は地表から火山性ガスが噴出している見るからに恐ろしげな場所で、あたりには硫黄臭が漂っていました。実際このガスは危険なようで、遊歩道から絶対外れないように注意書きがあります。ガスの噴出口付近は硫黄で黄色くなっていていて、あたりには植物も少なく荒涼としています。とりあえず私は写真だけ撮って引き返すことにしたのですが、バスターミナルからだいぶ下ってきたため、上りがとにかく大変でした。いつもの調子で階段をひょいひょいと上っていたら、途中で息が切れてきて、やっぱり高地は空気が薄いんだなあと実感させられました。それでもなんとか上りきって今度はみどりが池の方を回り、そのあと立山湧水を持ってたペットボトルに汲んでバスターミナルに戻りました。

みくりが池から立山を望む
みくりが池から立山の方を写した写真です。天気が良かったこともあり、ほんとに綺麗な景色でした。そのまま絵葉書になりそうな感じですね。
地獄谷
地獄谷の様子です。みくりが池周辺とは景色が一変し、荒涼とした雰囲気。火山性ガスが噴出する音も結構迫力があり、まさに地獄という名にふさわしい所です。
今度はみどりが池から
再び立山の写真。今度はみどりが池の近くから撮っています。ほんとにこの景色は一度は実際に見ておくべきだと思います。私自身結構感動しました。

室堂からはトロリーバスに乗って大観峰(だいかんぼう)に向かいます。トロリーバスというのは電気の力で走るバスのことで、昔は日本のあちこちで走っていたのですが、今やこの立山トンネルトロリーバスと、あとで乗る関電トロリーバスだけになってしまいました。ぱっと見はまさにバスそのものなのですが、屋根の上にあるトロリーポールで架線から電気を取り入れて走るので、排ガスが出ないという特徴があります。今回アルペンルートに来たのはこれに乗りたかったというのもあるので、結構わくわくしていました。しかし室堂の散策前にコインロッカーに預けた荷物を取り出そうとしたら、かばんの中に入れたはずの鍵が見つかりません。もしかして途中で落としちゃったんだろうか、とだいぶ焦りましたよ。バスの出発時間も迫っていましたし、ちょっと青くなりました。でもよく探すと、さっき食べたますのすしの容器を入れたゴミ袋の中にまぎれていました。くそー、ますのすしめっ(?)。というわけでなんとかバスには間に合いました、やれやれ…。

バスは4両止まっていたのですが、すでに人でいっぱいでした。ですがたまたま一番前の席が空いていたので、そこに座ることができました。おかげでトンネルの様子が目の当たりにできて楽しかったです。そうそう、ここのトロリーバスは立山の真下を掘り抜いたトンネルの中を走っているので、地表に出ることはないのです。そのトンネルもバス1台分の断面積しかなく、走っていると圧迫感があります。途中で向こうから来るバスと行き交う場所も決まっていて、そこでしか行き違いはできないようになっています。あとトロリーバスの運転ってどんなだろうというのも気になっていたのですが、見た目はほんとにバスそのものでした。ただアクセルを踏むとインバータ制御の電車が発車するときのような音がするのですよね。おもしろい乗り物だなぁーと思って自動放送で流れるトロリーバスとトンネルの解説そっちのけで眺めていました。そして約10分で大観峰に到着。標高は多少下がって2316mでしたが、断崖絶壁にせり出すように立っている駅なので、外に出ることができません。ここでロープウェイに乗り換えなのですが、とにかく観光客でごった返していてしばらく乗れそうになかったので、展望台に上がって景色を見たり、おみやげ物を見たりして過ごしました。結局40分ぐらい待たされてやっとロープウェイに乗車。

立山トンネルトロリーバス
立山トンネルトロリーバスです。見た目はバスそのものですが、屋根の上に架線が見えると思います。あわただしい乗車だったので、たいした写真が撮れなかったのが悔やまれます…。
立山トンネル内
立山トンネル内部の様子。バス自体が揺れるのでだいぶブレていますがご容赦を(汗)。こういうところの運転って結構気を遣うんじゃないかなあと思います。
大観峰展望台より
大観峰の展望台から、これから行く黒部湖の方を撮った一枚。下に見える白い三角形の物体はロープウェイの駅です。よく見るとロープウェイも見えると思います。黒部湖は深い緑色でとても綺麗でした。ただちょっと雲が出てきたのが残念。

ロープウェイも待たされただけあって、ものすごい混雑でした。どうやらここがアルペンルートの中でもっとも混むポイントのようですね。ダイヤもあってないようなものでした。ここは景観保護のため、日本で唯一支柱が全くないロープウェイなので、眺めは最高です。ロープウェイに乗ると5分少々で標高1828mの黒部平へ。黒部平にはあんまり観光スポットもないようだったのですぐにケーブルカーに乗り換えることにしました。ちなみにここのケーブルカーは全線が地下にあるという珍しい構造になっています(これも日本でここだけだそうです)。そしてケーブルカーを降りると標高は1455m。大観峰から一気に900m近く降りてきたことになります。

黒部湖駅からは徒歩で黒部ダムへ。ここは「くろよん」の愛称で有名な黒部川第四発電所の上流に位置する有名なダムですが、その規模の大きさにはただただ圧倒されるばかりでした。人の手でこんな物作れるんだなぁ、と思うと胸が熱くなります。最初ただの歩道だと思っていたところが、あとで展望台から見るとダムの堰堤(えんてい)だったことがわかり、さらにびっくり。ここでは放水の様子を見ることができるのですが、ものすごい迫力でした。水しぶきで虹がかかっているのがとても綺麗で、思わずケータイで動画を撮ってしまったぐらいです。またここにも黒部湧水というわき水がわいているので、汲んでいくことにしました。そして再びトロリーバスに乗るため、駅に向かいます。

黒部湖側からダムを望む
黒部湖側からダムのほうを撮った写真です。黒部湖は深い緑色でとてもきれいでした。堰堤の上を歩いている人の大きさを考えると、その大きさがよくわかると思います。
放水の様子
黒部ダムの放水の様子です。写真では伝わらないかもしれませんが、ものすごいスケールでした。なんといっても高低差が186mもありますからね。
放水でできた虹
放水によってできた虹です。ちょっと見えにくいかもしれませんが…。このあたりは放水によって全体的に霧がかかったような状態になっているので、太陽さえ出れば虹は高確率で見られるのではないでしょうか。
展望台よりダム全景
展望台からダムの全景を写した1枚。これも人の大きさと比べるとその規模がわかると思います。ちょっと曇ってきたので暗い写真になってしまいましたが、実際にこの光景を見ると誰でも感動すると思います。ただ展望台に上がるのが結構しんどかった。

ここからはまたトロリーバスに乗ります。トロリーバスが通っている関電トンネルは、かつて関西電力が黒部川第四発電所を建設する際に建設物資の輸送路とするために掘り抜いたものです。このトンネル掘削には数多くの難関があったようで、「黒部の太陽」という映画にもなっています。そういった経緯がバス車内でずっとアナウンスされていました。このトロリーバスもまた人が多くて、発車を待つ人の列がとても長く、乗れるかどうか心配になったぐらいでした。

関電トロリーバス
扇沢で撮った関電トロリーバスの写真です。頭上に架線のあるのがよくわかると思います。バスは6両でしたが、すべて満員でした。

アルペンルートもいよいよ終盤です。最後は信濃大町駅までの路線バスに乗ります。ここまでラッシュアワーのような人混みだったのが嘘のように路線バスは空いていました。マイカー組はここから自分の車に乗るからでしょうね。時刻表には次のバスが16:55発と書いてあったのでしばらく待たないといけないかなと思っていたのですが、臨時バスがあったので30分早く乗ることができました。

早く到着できたおかげで、予定していたよりも1本早い電車に乗ることができました。1本後だと1時間遅くなってましたから、助かりました。ここからはいきなりJR東日本のエリアになります。言葉では表しづらいですが、駅や電車の雰囲気はまさに信州だなぁという感じでした。学生のしゃべる言葉遣いは標準語そのものですが、やはり東京とは雰囲気が違います。そして今日泊まるホテルのある松本に到着。松本駅前はさすがににぎやかなところでした。晩ご飯はめぼしいところがなかったので近くの飲み屋のようなところで食べました。一人で入る飲み屋はちょっと肩身が狭いものがありましたが、料理はまあわりとおいしかったです。ちなみに泊まったのは「ホテル1−2−3松本」という所でしたが、カードキー式の新しいホテルで部屋もきれいでしたし、5,040円でおいしい朝食も付いていたので、この旅でいちばん気に入ったホテルになりました。


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