2003/08/27 四国旅行 二日目



前日の疲れのせいか、早く寝たにもかかわらず起きたのは朝8時頃でした。とりあえず寝汗をかいていたのでもう一度風呂に入り、9時過ぎにチェックアウト。乗るべき列車の時間まではまだしばらくあったので、徳島中央公園に行くことにしました。徳島にはかつて蜂須賀家政の徳島城があったのですが、明治時代に解体されてしまっています。けれども城跡は公園になっていて、博物館もあったので、まずはそこに入りました。博物館と言うには収蔵品も少なくてあっという間に見て回れる規模でしたが、それでも徳島の歴史や、かつて城があった頃の様子を興味深く見ることができました。ちなみに博物館に入ると表御殿庭園にも入れるようだったのでそちらにも行きましたが、天気が良かったせいかとても綺麗で、写真もかなりうまく撮れたんじゃないかなと思います。それから公園を西の方に歩いて徳島駅へ向かおうと思ったのですが、駅は見えているのに陸橋が近くになく、結局駅のかなり西側の踏切まで行かないと改札側には行けませんでした。列車の時間も迫っていたので、ちょっとひやひや…。


陸橋から徳島駅を眺めたところ・右は中央公園


徳島城博物館と表御殿庭園


    徳島10:36 - 海部13:10(牟岐線・普通海部行き)
まあ列車には無事に乗る事ができ、今度は牟岐線に乗って四国の東側を南下します。この先もずっと単線非電化区間で、列車は2両あったのですが、後ろ一両は回送のため乗車できないとのこと。その割には前1両に結構たくさんの乗客がいたので、別に後ろ回送にしなくてもいいじゃないか…と思いました。列車は徳島を出るとどんどん田園風景になっていき、11:19に阿南(あなん)到着。阿南といえば高輝度青色発光ダイオードを世界で初めて開発した日亜化学工業がある街なので、なんだか感慨深いものがありました。でも阿南って思ってたよりかなり田舎だったので、なおさら当時の衝撃は大きかったんだろうなぁ。その後海外から著名な研究者が、わざわざ徳島から列車に乗って阿南まで何人も来たそうで、日亜に向かう外国人の多さにタクシーの運転手も一体何事かと思ったそうです(そりゃびびるわ)。そんなことを考えながら阿南での16分の停車時間を過ごし、ようやく列車は再び発車しました。ここからは列車の本数もだいぶ少なくなり、駅間もだんだん広くなってきます。そしてこのあたりからだんだん海も見え始めてきます。そして12:45に牟岐(むぎ)到着。ここから海部までは4駅しかないのであっという間でした。


海部駅にて・JRと阿佐海岸鉄道の車両


    海部13:12 - 甲浦13:23(阿佐海岸鉄道:阿佐東線・普通甲浦行き)
海部で阿佐海岸鉄道に乗り換え、終点の甲浦(かんのうら)をめざします。といっても途中には1駅しかなく、あっという間に着いてしまいました。乗客は私を含めて3人で、寂しかった…。もともとはここも旧国鉄が建設する予定だった路線ですが、結局財政難で建設が頓挫し、三セクによって10年ほど前に甲浦まで開通したようです。今後室戸の方に伸ばす計画はあるんでしょうかねえ。現在は日に20往復程度しているようですが、3駅しかない路線なのに、一部の列車は宍喰-甲浦の2駅間しか運行していないのは一体どうしてなんでしょうね、謎だー。ちなみに車両は1両編成の気動車でしたが、まだ開業から10年そこそこなので、とても綺麗でした。

甲浦からは鉄道がないので、ここからはバスの旅になります。バスは甲浦駅も通るのですが、まだバスが来るまで時間があったので、お昼ご飯の調達のために近くをさまようことにしました。コンビニがないか探したのですが、そういう類のものは全くなし。とにかく店がなくて困りました。海岸の砂浜ではそれなりに多くの人が遊んでいたのですが、ホテル以外になにもありません。仕方がないのでバス始発の甲ノ浦岸壁バス停まで歩くことにしたのですが、岸壁では弁当屋も釣具屋も閉まっていて、もう途方に暮れてしまいました。結局バスの発車時刻が来てしまったので、お昼は食べずじまい。切ない…。


甲浦の砂浜


甲浦から室戸まで乗ったバス


    甲ノ浦岸壁14:05 - 室戸岬14:59(高知東部交通(バス)・安芸営業所行き)
結局バスの乗客は私一人でした。乗ったバスはかなり新しくて、乗り心地は非常に良かったです。でも2人目の乗客が乗ってくるまでの約30分間は、ほんとに寂しかった…。このあたりは海沿いに国道が走っていて、途中ずーっと海を眺めていました。天気が悪かったのであんまりくっきりとは見えませんでしたが、晴れてたらすごく良い眺めだと思います。とにかく見渡す限り水平線といった感じで、ずっと太平洋が続いていました。途中国道沿いに歩いているお遍路さんも結構たくさんいて、大変だろうなあと思いながら眺めていました。なんせここから室戸までは結構距離がありますからねえ。ところでバスなので途中には当然たくさんの停留所があるわけですが、ほとんど民家のないところを走っているので、バス停の名前の付け方にもいろいろと苦心の跡が見て取れます。特に「〜第三」「〜第二」というように、同じ地名で2つも3つもバス停があるのには、ちょっと苦笑してしまいました。あと「〜分岐」とか「〜入口」という名前も多いですね。私の家の近所での「〜○丁目」とか「〜駅前」という名前に慣れていると、かなり違和感を覚えます。そんなこんなで1時間弱バスに揺られて、ようやく室戸岬に到着です。

私は最初室戸岬に来るまで、灯台はバス停近くの海沿いにあるものとばかり思っていました。そんなわけでまずは海岸に出てみたのですが、灯台の姿はどこにも見あたりません。おかしいなあと思いながら海岸沿いをずっと歩いて、再び国道まで戻ってきたのですが、そこから分岐しているスカイラインの標識には室戸岬灯台の文字が。「えっ、灯台ってスカイラインの上?」と一瞬目を疑いました。スカイラインの入り口近くにはたまたま喫茶店があったので中に入って聞いてみると、確かにこの上とのこと。ならば仕方がない、歩いて上るまでさー、と覚悟を決めて歩き出しましたが、これがなかなかきつい。…と突然私の横を通り過ぎた一台の軽トラックが前で止まり、「どこ行くんや?」と乗っていたおじさんが聞いてきました。私が灯台に行くつもりだと告げると、乗ってきいやと車に乗せてくれたのです。これはとってもありがたかったですねえ。とにかく荷物が重くてしんどかったので、助かりました。おじさんは、灯台はそんなに大して見るものないぞ、と言ってましたが、まあ灯台さえ見られれば満足なので問題はありません。そして5分ぐらいで灯台の入り口に到着し、お礼を言っておじさんとはお別れ。ここから灯台まで数分歩きます。


室戸岬の海岸


まず、灯台の手前には四国八十八カ所の第24番札所・最御崎寺(ほつみさきじ)がありました。ここはあとで来るとして、まずは何はともあれ灯台です。寺を過ぎるとほどなくして海上保安庁の建物が見え、それを過ぎると灯台が姿を現しました。まさかこんな山の上にあるとはなぁ…。もともとが山の上にあるので灯台自体の高さはあまり高くなく、こぢんまりとした感じではあるのですが、それでもやっと灯台を見ることができたことに感動しました。この灯台は現在は無人で、中に入れないことが残念でしたが、とにかくいろいろと写真を撮りました。この灯台はやっぱり直径2.6mある日本一のレンズが圧巻ですね。こんだけでかいと遠くまで良く光届くんだろうなあ。結局20分近く灯台を眺めたあと、さっき通った最御崎寺へ。ここの境内には、たたくと不思議な音のする「鐘石」という名の大きな岩がありました。岩にはくぼみがいくつもあり、そこに小さな石が置いてあります。その小さな石でくぼみをたたくと、金属質な、澄んだ心地よい音色が響きました。なんでもこの音色は冥土まで届くのだとか。まあ確かに不思議な音でしたけどね。


室戸岬灯台


最御崎寺を後にしてから、今度はさっき上ってきたスカイラインを歩いて降ります。下りは上りに比べればはるかに楽ですが、たまに通る車は結構猛スピードで通りすぎて行くので、ぶつけられないかどきどきしました。あと道路の端は断崖絶壁になっていて、眺めは良いのですが、もし転んでガードレールの向こうに落ちたら命はないなあと思うと背筋が凍りそうでした。というわけで転ばないように慎重に慎重に降りていきます。でもここからの眺めは本当に最高でしたね。結局30分弱ほど歩いてようやく下まで降りることができました。


スカイラインから室戸の町を見下ろしたところ


ここからまた海岸沿いに20分ほどかけて元のバス停まで戻り、のどが渇いていたので近くの喫茶店でアイスコーヒーを飲みました。この店ではなんでもあの有名な室戸の海洋深層水を使用しているとのことで、なんというか、癖の全くない味でおいしかったです。店を出た後はバスの時間まで再び海岸を散策し、それからバス停に戻って、来たバスに乗り込みました。そういえばこのバス停の前にあった電話ボックスは、灯台の形をしていておもしろかったなあ。


同じく室戸岬の海岸


電話ボックスも灯台型


    室戸岬16:39 - 奈半利駅17:36(高知東部交通(バス)・安芸営業所行き)
今度乗ったバスも、最初に乗ったのと同じような新しいバスでした。今度は乗客も数人いて、ちょっと安心。室戸岬を出た後さっきのスカイラインの入り口横を通り(ここにもバス停があったので、ここから乗っても良かったなあとちょっと後悔)、室戸市街へと向かいます。このあたりになるとだいぶ民家も増えてきて、市の中心地なんだなと感じました。バスは国道55号線を海岸沿いに北西の方向に進み、やがて土佐くろしお鉄道の奈半利(なはり)駅に到着。


    奈半利17:47 - 高知19:13(土佐くろしお鉄道:ごめん・なはり線→土讃線・普通高知行き)
ここからは土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線に乗ります。この路線は2002年7月1日に開業したばかりで、まだ駅もぴかぴかでした。またここは非常にユニークな路線で、各駅にあのアンパンマンで有名なやなせたかし氏がデザインしたキャラクターがいます。そして駅の入り口にはそのキャラクターのモニュメントが置いてあり、駅標にもキャラクターが描かれていますし、車内の到着アナウンスでも、「まもなく下山、しもやま ちどりちゃんの下山です」という感じで紹介されています。たまたま私の隣の席には子供連れの家族が座っていたのですが、子供さんがごめん・なはり線のガイドブックを持っていて、駅に着くたびにキャラクターを楽しみにしていたのが印象的でした。おもしろい試みですよねぇ。

で、奈半利ではまず駅の物産館という地元の名産品を売っている店で、いちじくジャムとゆず味噌を購入。このいちじくジャムがとってもおいしくて、当たりでした。もっと買っとけば良かったなあ。その後ホームに上がり、切符を買って列車に乗り込みます。列車は1両編成のディーゼルカーでしたが、なんせ開業後1年ちょっとしか経っていないのでぴかぴかでした。乗り心地も良い感じです。乗客はバスに比べればはるかに多かったですね。たまたま前に乗っていた人が話していたのですが、バスでも時間はあんまり変わらないけど、やっぱり揺れて疲れるから列車の方が良いと言っていました。私もここまでバスで移動してきただけに同感でしたね。この路線、室戸まで延ばす予定はあるんでしょうかねえ。でまあ、列車の方は各駅のキャラクターを紹介しながら、阪神タイガースのキャンプ地として有名な安芸へ。安芸はやはりこのあたりでは大きな街らしく、たくさんの乗り降りがありました。安芸駅の隣は市営球場のある球場前駅だったのですが、そこのキャラクターが「球場 ボール君」てのはそのまんまな気も…(苦笑)。その後また海沿いを走った後内陸の方へと向かい、ごめん・なはり線の終点、後免(ごめん)駅に着きます。ここからはJR土讃線に入り、5駅先が高知駅でした。


土佐くろしお鉄道・奈半利駅のマスコット「なは りこちゃん」


まだ新しくてぴかぴかの車両


高知に到着後はもう時間も遅いので、まっすぐ今日の宿へと向かいます。予約したホテルは駅から近かったのですぐに場所がわかりました。部屋に入り荷物を置いて、すぐにフロントにとんぼ返り。いつものように近くのおいしい店を聞くと「あおき」という店を紹介されたので、そこに行くことにしました。店に入るといかにも家庭的な居酒屋といった雰囲気。高知なのでやっぱりまずは土佐鶴で一杯やりました(笑)。その後うな丸という、うなぎの白焼きにわさびとポン酢をかけたものを食べましたが、とってもおいしかったです。他にも土佐焼という、山芋をすりおろして卵とか他の具を入れて焼いたものも食べましたが、これもなかなかいけました。で、食べていると常連さんらしきお客さんが入ってきて相席になったのですが、この人となんだか話がずいぶんはずんでしまい、そんなに飲むつもりじゃなかったのに、ボトルキープされている栗焼酎を2杯もいただいてしまい、結局めっちゃ酔ってしまいました(苦笑)。で、料理もちょっと食べやと言ってくださったので、いろいろとごちそうになったのですが、アジの塩焼きがとってもおいしかったなぁ。あんなに大きなアジの塩焼きは初めて食べました。やっぱり旅行の醍醐味はこれですよねぇ。そんな感じでいろいろと食べて満足した後宿に戻り、あとはぐっすりでした(苦笑)。




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