紅茶産地別の特徴


紅茶の味ですが、入れ方は前ページで書いたとおりそんなに難しいわけではないので、あとは買う葉っぱ次第です。以下では私が飲んだ範囲での紅茶産地別の大まかな特徴を書いてみました。まだ私自身そんなにたくさんの種類を飲んだわけではないので、あくまでも参考程度にどうぞ。また紅茶は農産物なので、もちろん季節や気候によっても変わります。

・ダージリン(DARJEELING)
言わずとしれた紅茶の名産地です。紅茶のことを全然知らない人でもダージリンの名前ぐらいは聞いたことがあると思います。ダージリンは、ファーストフラッシュ(春摘み)、セカンドフラッシュ(夏摘み)、オータムナル(秋摘み)と、摘み取る時期によって分類され、一般的にファーストフラッシュは若々しい香りと青っぽい味、セカンドフラッシュは円熟した香りと味、オータムナルはさらに熟した味が特徴的とされます。品質的にはセカンドフラッシュが一番とされており、オータムナルはセカンドフラッシュに比べると多少安価になる場合がほとんどです。ファーストフラッシュは、イギリスではそれほど飲まれていませんが(イギリスではミルクティーに合う、濃いお茶が求められるため)、日本やドイツなどでは相当人気があります。やはり日本人は一番茶に対する思い入れが強いのかもしれません。特にファーストフラッシュは味と香りが若い分、緑茶に似た風味があるのでなじみやすいというのもあるのでしょう。
ダージリンはその知名度とは裏腹に生産量は大変少なく、上質のダージリンはなかなか手に入らないのが現状です。そのためダージリン茶入りといううたい文句の缶紅茶やティーバッグはあまり当てにしない方がいいと思います。私もそうでしたが、いわゆるリプトン・イエローラベルなどのティーバッグの紅茶のイメージでダージリンを飲むと、最初はかなり違和感を感じると思います(ティーバッグの紅茶はたいていセイロンティー)。けれども上質のセカンドフラッシュダージリンの、マスカットフレーバーと称される口いっぱいに広がる香りを一度味わってしまうと、平均的なダージリンでは物足りなくなってしまうでしょう。
・アッサム(ASSAM)
アッサムの名前もダージリンほどではありませんが、割と知名度があるのではないかと思います。アッサムはダージリンとはがらっと印象が変わって、一般にボディが強いと表現される、かなり濃く渋めの味です。水色(すいしょく:紅茶の色)もかなり濃く、ミルクティー向きの紅茶です。もちろん上質なものはストレートもおいしいですよ。イギリス人はどちらかというとダージリンよりアッサムの方を好むようです。
・ウバ(UVA)
ウバはおそらく紅茶好き以外にはほとんど名前が知られていないと思いますが、ティーバッグの紅茶はたいがいこのウバのようなセイロンティーなので、いわゆる「紅茶らしい」紅茶でなじみやすいと思います。ただウバは上質な物になるとかすかにメントールのようなさわやかな後味が残り、これがおいしいです。私はこのウバが結構好きで、やっぱりウバを切らすと何か物足りない気分になります。ストレートでもおいしいですし、ミルクを入れてもよく合います。
・ヌワラエリヤ(NUWARA ELIYA)
ヌワラエリヤもセイロンを代表する紅茶の一つです。セイロン紅茶のシャンパン、なんて称されますが、繊細な香りと程良い渋みのある上品な紅茶です。このヌワラエリヤもかなりなじみやすいと思います。私もヌワラエリヤはよく飲みます。ストレートの方が合いますが、ミルクを入れてもあまり香りはくずれないです。
・ディンブラ(DIMBULA)
ディンブラもヌワラエリヤと同じセイロンティーですが、ヌワラエリヤに比べてこくがあります。ストレートもおいしいですが、ミルクがよく合います。
・キャンディ(KANDY)
キャンディはディンブラの渋みをやや優しくしたような感じのお茶です。あまり癖がなく、万人向きだと思います。価格も安いので日常茶に良いのではないでしょうか。
・ルフナ(RUHUNA)
ルフナはスリランカの言葉で「南」という意味があり、特定の町の名前というわけではなく、その名の通りスリランカ南部地方で作られるお茶です。ディンブラに似てボディが強く、ミルクティーによく合います。これも安いお茶なので普段飲むにはちょうど良いのではないでしょうか。ちなみに私はディンブラとキャンディとルフナを目隠しして飲んだら、全部きちんと当てる自信はないです(汗)。まあ上質なディンブラならたぶんわかると思いますが…。
・ニルギリ(NILGIRI)
ニルギリはインド南部の紅茶産地です。一般的にはセイロンティーに近い味と言われていますが、私はどちらかというと野性的なダージリン系の味だと思います。ただ私もニルギリはそんなに種類を飲んだことがないのでなんとも…。
・シッキム(SIKKIM)
シッキムはダージリンから割と近いところにある産地です。キャラクター的には上質のダージリン、という感じがします。ただ収量はわずかです。
・キーマン(KEEMUN)
中国は安徽省で作られているこの紅茶は、蘭の花の香りにもたとえられる独特のスモーキーフレーバーが特徴的です。トワイニングの黒缶(プリンス・オブ・ウェールズ)はこのキーマンのブレンド茶です。私は最初、そんなにこの紅茶が好きではなかったのですが、最近おいしいと思うようになってきました。イギリス人の目には(舌には、かな?)東洋的なものに写るせいか、人気があるようです。
・ラプサンスーチョン(LAPSANG SOUCHONG)
中国福建省で作られる紅茶で、漢字では「正山小種」と書きます。とても個性的な紅茶で、正露丸のような香りと良く言われます。この香りは紅茶の葉を松の木で燻すことによって付けられたものです。この紅茶ほど好き嫌いのはっきり分かれるものはないでしょう。私は……苦手です(苦笑)。でも好きな人はとことん好きになるようです。脂っこい中華料理を食べながら飲むのに向いていると思います。

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