オーディオミキサーの製作


目次


1.概要
昨年暮れにaPony放送局なる恐ろしい企画(笑)を考えついてしまって以来、オーディオミキサーを買おうかどうしようか、ずっと考えていました。でも市販品は最低でも1万円近くするため、どうしても購買意欲が起こりません。市販品は高音・低音の調整ができたりするのですが、別に私はそんな機能いらないので、じゃあ自作できないだろうかと思いたちインターネットのサイト巡りをしたところ、類似の回路をようやく発見したので、それを参考に製作してみました。その顛末をここではまとめて紹介しようと思います。


2.回路
基本的にはOPアンプを使った加算増幅器です。別に増幅をするわけではないので、増幅度は1ですが。回路図と部品表を以下に示します。

ちなみに、私は4入力のうち1つはマイク入力として使いたかったので、エレキットのマイクアンプキットNT-5を使用しています。そのためその部分はRCAピンジャックの代わりにモノラルジャックを使用しました。また別に安定化する必要はないのですが、念のため7809で9Vに安定化しました。
また私はOPアンプにMC33172を使用しましたが、まあOPアンプは特になにを使っても問題ないと思います。
あと、OPアンプは電源が必要です。回路図には書いてありませんが、4ピンをGNDに、8ピンをVccにつなぐ必要があります。
ボリュームは回路図上に8個ありますが、2連ボリュームを使用するので、実際は4個です。ある入力のLとRを1つのボリュームで調整します。
掲示板で指摘を受けましたので、出力側にコンデンサを入れた回路図に変更しました。指摘してくださった電子幸作さんに感謝します。(2006/11/06追記)

下は私の作成したミキサーの外観・内観です。

上面
上面


入出力部分
入出力部分


内部
内部


基板
基板



3.試行錯誤
さて、回路的にはそれほど難しくないので、すぐできるだろう…と製作当初は思っていました。ところが予想外に苦戦を強いられてしまいました。私は最初、10μFの電解コンデンサなしで作っていました。しかし、そうするとなぜか出てくる音が小さくなったのです。

この回路はOPアンプを逆相増幅器として使っているのですが、逆相増幅器の基本回路は下のようになります。 OPアンプの差動利得μを無限大と仮定すると、この増幅器の増幅率は、 と表せます(マイナスが付いているのは位相が反転するからです)。出てくる音が小さい…ということは、増幅率が1以下になってるということですから、Raが大きいか、Rbが小さいとしか考えられません。テスターで測ってみるとRbはちゃんと20kΩあったので、問題はRaにありそうです。で、結局一晩悩んでもわからなかったのですが、その翌日ふとあることに気づきました。よく考えたらこのRaの前段にはボリュームが付いているじゃないか、これのせいじゃないだろうか…と気づき、それでまたweb上を探し回ったところ、このコンデンサが入っている回路を見つけました。で、コンデンサをいれたところ、音が小さくなることはなくなりました。

ところが今度は、音がひずむことに気づきました。LM358は単電源OPアンプなので、最初+端子はGNDに落としていたのですが、それだと0V以下にはどうがんばってもならないのです。これは、2本の抵抗で分圧し、仮想的に±電源を作ることによって解決しました。


4.終わりに
というわけで予想外に苦戦したオーディオミキサーでしたが、結構OPアンプの勉強になったので、まぁよしとしましょう。私はケースがたまたま余っていたので、結局製作にかかった費用は3000円弱でした。もし機会があれば簡単なので、是非作ってみてください。





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